[北中米W杯アジア最終予選]日本 1−1 オーストラリア/10月15日/埼玉スタジアム2002
オーストラリアとの引き分けを素直に喜べない一方で、負けなくてよかったとの想いもある。複雑な心境にさせられた一戦だった。
正直、スリリングさや興奮を味わえる試合ではなかった。引き気味のオーストラリアに日本が攻め込む展開はワールドカップの2次予選の試合を見ているようで、率直に「どうした!! オーストラリア!!」との感想を抱いた。
かつて“日本キラー”ティム・ケイヒルがいた当時のオーストラリアは、日本戦でもっとガツガツした戦いを見せていた。それに比べて、今のオーストラリアは“恐怖”を感じないチームになってしまった。ケイヒルのようなアタッカーは不在で、組み立ての局面でのクオリティ不足も深刻。アジアの強豪と呼べるレベルにあるのかと、埼玉スタジアムでのピッチのパフォーマンスを目の当たりにしてそう思った。
そんなオーストラリアに勝てなかった日本も情けないと言えば情けないのだが、ワールドカップの最終予選という長い道のりの中ではこういう試合もあるだろう。
伊東純也が「タケ(久保)や(三笘)薫のところから突破できていたので、オーストラリアの守備が堅いというよりは最後のクオリティだと思います」と証言したように、オーストラリアから複数得点できなかった要因は最終局面での質にあったと考えれば、行き着く先は決定力不足。これは日本代表の永遠の課題とも言われ、それが表面化としてさほど驚きはない。
驚きがあるとすれば、オーストラリアの弱体化のほうだった。
昔のように、ゴール前にロングボールをガンガン放り込まれたほうが日本は嫌がるはずなのに、彼らはどちらかと言えばパスサッカーを選択していた。そこまで繋ぐ技術が高くないようにかかわらずだ。
効果的にパスを繋げず、守備一辺倒に近い形だったオーストラリアの戦いぶりが寂しいと感じたのは、果たして自分だけだろうか。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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