いよいよ10月24日にプロ野球ドラフト会議が行われる。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。交流戦優勝を果たしたものの、CS進出を逃した楽天はどのような戦略で臨むべきだろうか。
【基本方針】
バランス重視
【補強ポイント】
●打線の中軸を任せられる右打者
●三振奪取能力の高い投手
●大学生年代以下の捕手
【理想の指名】
1位:渡部聖弥(外野手/大阪商業大)
2位:寺西成騎(投手/日本体育大)
4位:龍山暖(捕手/エナジックスポーツ)
今江敏晃監督が新たに就任した今季の楽天は、シーズン終盤までCS進出の可能性を残すも最終的に4位でシーズンを終えた。交流戦では13勝5敗で優勝を果たすなど収穫もあった一方、パ・リーグとの対戦では西武以外の4球団に負け越しを作っており、来季に向けての課題解決が必要な状況だ。
今季は松井裕樹のMLB移籍に伴い空席となったクローザーに則本昂大を起用、浅村栄斗を二塁から三塁にコンバートするなど投打の「顔」に手を加えた。いずれも現有戦力の最適化とともに世代交代を促す狙いがあったとみられ、今ドラフトでも戦力の底上げとさらなる新陳代謝の推進を両睨みしたバランス重視の指名が望ましいだろう。 打線に目を向けると、辰己涼介、小郷裕哉など俊足巧打タイプの左打者が揃う一方で、浅村に次ぐ右打者の台頭が待たれる。3年前に吉野創士を1位で指名したが、現状は二軍でも突出した成績は残せておらず、新たに手を打つ必要があるだろう。そこでおすすめしたいのが渡部聖弥(大阪商業大)だ。関西六大学リーグ通算100安打以上の確実性に加え、2年秋にはシーズン5本塁打を放ち連盟記録を更新するなど長打力も兼ね備えている。外野と三塁の両方を守ることができる点も、今後の楽天にフィットするだろう。
投手では4年目の早川隆久がキャリア初の規定投球回に到達して11勝、藤井聖も11勝を挙げた一方で、チーム防御率3.73は12球団ワースト。奪三振890も12球団最少だった。打たせて取るタイプの投手が多く、守備の影響を受けやすいとも言える。それだけに、状況に左右されず三振を奪えるタイプの投手を獲得したい。
高速で落差のあるスプリットを武器にする寺西成騎(日本体育大)はこのタイプに当てはまる。大学入学後は故障に苦しんだが3年次より頭角を現し、今年は日本代表にも選出された。直球は最速153キロを計測し、スプリットの他にもカットボールやツーシームを操るなど引き出しも豊富で、先発、リリーフ両面で活躍が見込める。他には、ホップするストレートが武器の村上泰斗(神戸弘陵)なども面白い存在だ。
最後に気になるのが捕手。シーズン終盤に安田悠馬が一軍で存在感を発揮したが、編成面を考慮するとさらにその下の世代を確保したい。龍山暖(エナジックスポーツ)は今年の高校生捕手の中で上位級の守備力があり、鍛えてみたら面白いタイプだ。楽天は九州・沖縄方面に独自のルートを持っており、実際に指名の可能性もあるのではないだろうか。
文●やまけん
【著者プロフィール】
1999年生まれ、千葉県出身。「一人でも多くのアマチュア野球選手がスポットライトを浴びてほしい」という思いから、関東を中心に全国のアマチュア野球の試合を年間約150試合を球場で観戦するアマチュア野球観戦者。X(旧)Twitter→@yam_ak_en
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