米国GPでの4年連続入賞を目指す角田裕毅に「レッドブル昇格のために存在を示す必要がある」と専門メディア。再参戦のローソンは「昇格は頭の中にない」

 シンガポール・グランプリから1か月が経ち、20024年F1世界選手権は今週末に再開。第19戦アメリカGPはテキサス州オースティン郊外の「サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)」で開催される。

 ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)はダニエル・リカルドからリアム・ローソンにドライバーが交代しての初戦ということで注目を集めることになるが、このニュージーランド人ドライバーとのチーム内対決に臨むことになる角田裕毅も気合十分である。

 角田はチームの公式サイトを通して、「オースティンの週末はシーズンの中でもお気に入りのひとつです。街が好きだし、サーキットもとても楽しいです。特にラップの最初の部分は鈴鹿に少し似ています。過去3回はポイントを獲得しており(2021年から順に9位、10位、8位)、昨季はファステストラップも記録できました」とCOTAでの良い思い出を回想するとともに、4度目のレースに思いを馳せている。
 「前回のレースの後でコースが再舗装されているので、どのような感じになっているのかが楽しみです。今回はスプリントも行なわれる週末であり、オースティンに来る前に行なった準備とシミュレーション作業が、これまで以上に重要になります。スプリント予想にすぐに入る前に、スムーズなフリー走行の時間を確保するためです」

 RBのレーシングディレクター、アラン・パーメインもCOTAに言及し、「このサーキットは多くの挑戦を提供する。高速コーナーや急激な方向転換、重いブレーキング、長い全開のコーナーなどだ。過去にはかなり路面がデコボコしていたが、今年大規模な再舗装が施されており、これが週末の車のセッティングやレース戦略に新しい次元を加えるかもしれない。従来、ここは2回のピットストップが一般的なサーキットだった」と説明している。

 専門メディアの報道を紹介すると、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は「オースティンでの週末は、RBにとって特別なものとなるだろう。ファエンツァのチームは、新しいラインナップでコースに戻る。COTAでユウキは過去の素晴らしい結果を確認するために走る。彼はレッドブル昇格に近づくチャンスを得るために、引き続き自身の存在を示さなければならない」と、注目される去就に結び付けて報じた。 ヘルムート・マルコ顧問は、角田とローソンがレッドブルのドライバー候補であり、今季残りのレースで2人を比較した上で“査定”することを明言しているが、F1での経験値がはるかに高い角田としては、常にライバルを上回ることが義務付けられるため、今後の6レースは非常に厳しいものとなりそうだ。

 もっとも、それはローソンも同様であり、アメリカGPではパワーユニット交換によるグリッド降格が予想される22歳は、「チームは僕に、ユウキと同じレベルに達し、パフォーマンスを発揮することを望んでいる。それは、彼らはポイントを欲しているからだ。チームはコンストラクターズ・チャンピオンシップで6位の座を争っており、そのためにはレースでの入賞が常に目標となる。それができれば、僕たちは良い仕事をしていると言える」と語っている。

 来季以降の継続参戦については、まだ何の確約も得ていないとされるローソンにとっても、F1での生き残りを懸けるという意味で残り6レースは非常に重要なものとなる。ゆえに、今はRBでの戦いに集中しており、レッドブル昇格は「僕の頭の中にはない」と断言するが、一方で「僕はレッドブルのセカンドチームにいるので、良い仕事をすれば、僕の未来が彼らと共にあることは認識している」とも。
 「僕の目標は、将来レッドブルで走ることであり、明らかに彼らも将来に向けて構築を進めていることは知っている。マックス(・フェルスタッペン)かチェコ(セルジオ・ペレス)がいつかチームを去る時のために。そのために、準備のできたドライバーが彼らには常に必要だ。だから、もし僕が良い仕事をすれば、僕の未来はそこにあると意識している。ただ、それがいつ起こるかについては、本当に考えていない。全ては、RBでのパフォーマンス次第だから」

 2人の若く才能溢れるドライバーによる熾烈な争いが展開されるシーズン終盤戦。2度のトリプルヘッダーの後、彼らにいかなる運命が待ち受けているのかが非常に気になるところだが、まずは戦いの火蓋が切られるオースティンでのレースを注視したい。

構成●THE DIGEST編集部

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