今月初めに女子テニス世界ランク1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/23歳)との師弟関係を解消した元コーチのトーマス・ビクトロフスキー氏(ポーランド/43歳)が、母国の日刊スポーツ新聞『Przegląd Sportowy』の取材に応じ、愛弟子との離別は双方の同意によるものだったと明かした。
ビクトロフスキー氏は2021年にシフィオンテクのコーチに就任。四大大会では「全仏オープン」(フランス・パリ/クレーコート)で3度、「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)では1度シフィオンテクを優勝に導いた実績を持つ。
またビクトロフスキー氏の指導の元、シフィオンテクは22年に2000年以降で女子テニス史上最多となるマッチ37連勝をマーク。さらには現在持っている22個のツアータイトルのうち19個はビクトロフスキー氏と共に獲得している。今季も全仏3連覇を含む5度のツアー優勝を挙げていることもあってか、同氏がシフィオンテク陣営を去ったことは多くのファンを驚かせた。
10月4日にシフィオンテクは、自身のSNSを通じてビクトロフスキー氏との離別を発表。海外メディア『UBITENNIS』によれば、当時ネット上ではここ数年チームに帯同している心理学者のダリア・アブラモビッチ氏が、今回の陣営改革に大きな影響を与えたのではないかという噂が流れていたようだが、ビクトロフスキー氏はそれをきっぱりと否定している。
「単に変革が必要だったというだけの話だ。我々からすると決して突然のことではなかった。そして何よりも軽率な決断を下したということはない」
「チームを去ったことについては多くの憶測や噂が流れていた。(シフィオンテクのSNSで)発表されたメッセージが私たちの決定を非常に正確に説明していたことを考えると、間違いなく(事実無根の噂が)多すぎた。センセーショナルなことを求める意図ではなく、吟味しながらあのメッセージを読むだけで十分に理解できるはずだ。契約解消は双方の同意のもとで決定された。フェイクニュースがその事実を変えることはない」
上記の“メッセージ”では「チームの重要な変化に取り組むため、そして新コーチとの協力関係をスタートさせるために、2~3週間の猶予をください」と綴っていたシフィオンテク。9月の全米で準々決勝敗退を喫してから現在まで大会に出場していないのはおそらくそのためだろう。新たな一歩を踏み出すシフィオンテクのさらなる活躍を期待したい。
文●中村光佑
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