ミルウォーキー・バックスの主砲ヤニス・アテトクンボは、現地時間10月10日に行なわれたプレシーズンマッチ2戦目(対ロサンゼルス・レイカーズ)に出場し、新シーズンのスタートを切った。
昨季終盤の4月9日に行なわれたボストン・セルティックス戦で左ふくらはぎを痛めたアデトクンボは、インディアナ・ペイサーズと対戦したプレーオフも含めたその後の試合を全休している。よって彼がバックスのジャージーを身につけてプレーするのは、ちょうど6か月ぶりのことだった。
レイカーズ戦に先発出場したアデトクンボは、約20分コートに立ち、18本打ったシュートのうち10本を沈めて20得点、7リバウンド、2ブロックと、力強いパフォーマンスを披露。レブロン・ジェームズのシュートを後ろからはたき落とした強烈ブロックや、八村塁をかわして叩き込んだパワフルダンクなど、好調な仕上がりを見せつけた。
試合は102-107でバックスの惜敗に終わったが、ドック・リバースHC(ヘッドコーチ)は「ああいったプレーが、彼を偉大なプレーヤーたらしめている所以だ。彼らのような選手は、意識してああしたプレーをしているのではない。あれが彼らにとってのプレースタイルなのだ」と、感嘆した表情で大黒柱のプレーを賞賛した。
プレーオフ出場は棒に振ったアデトクンボだが、7月にはギリシャ代表の一員としてオリンピック出場を賭けた最終予選に出場。MVP級の働きで激戦を勝ち抜き、本戦出場を勝ち取った。開会式でギリシャ選手団の旗手も務めたパリオリンピックでは、準々決勝でドイツに敗れて8位に終わったが、自身は大会最多の平均25.8点をマークする活躍だった。
アデトクンボはたびたび、FIBAの国際大会でプレーすることで、NBA選手のレベルが上がると発言している。トレーニングキャンプ前日のメディアデーの席でも、夏のオリンピックでの体験を聞かれて、「NBA のプレシーズン前にFIBA の大会でプレーした選手は、素晴らしいシーズンを送っている」と返答。例として、ジェイレン・ブランソン(ニューヨーク・ニックス)やアンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ボビー・ポーティス(バックス)など、昨年のワールドカップに参加したアメリカ代表選手たちの名前を挙げた。
具体的にプレー面での恩恵も挙げている。
「ヨーロッパやFIBA のスタイルはまったく別物だ。特にスペース。ものすごく得点を決めるのが難しい。自由に動き回れるスペースがないからね。自ずと、よりフィジカルであることが求められる」
国際舞台でのプレーを体験してNBA に戻ると、「ものすごくスペースがあると感じられる」のだという。そのため、自分の動きやプレーの幅が広がり、相手にとって止めにくい選手になれるとアデトクンボは指摘している。
「前回も(夏にFIBA の大会でプレーした後)良いシーズンが送れた。今シーズンも(夏の経験が)上手く生かされるかどうかというところだね」と手応えを語ったアデトクンボ。前回とは2022年夏のユーロバスケット(欧州選手権)のことだが、大会後の22-23シーズンは、自己ベストの平均31.1点をマークしている。
オフには結婚もして、公私ともに充実の“グリーク・フリーク”。今シーズンも大いに暴れてくれそうだ。
文●小川由紀子