3年前の“ドラ1”カニングハムが名門復活へ意気込み「デトロイト・バスケットボールに自分の時代を作り上げたい」<DUNKSHOOT>

 現地10月18日に公開された米メディア『SiriusXM NBA Radio』に、デトロイト・ピストンズのケイド・カニングハムがゲスト出演した。

 2021年のドラフト全体1位でピストンズから指名された198cm・100kgの長身ガードは、キャリア3年目の昨季62試合に出場し、平均22.7点、7.5アシスト、フィールドゴール成功率44.9%、3ポイント成功率35.5%、フリースロー成功率86.9%と自己最高の数字を残した。

 しかしチームは2勝1敗のスタートから瞬く間に下位に低迷。昨年10月30日から12月28日にかけて、1シーズンにおけるNBAワースト記録を塗り替える28連敗を喫し、リーグ最下位の14勝68敗(勝率17.1%)に沈んだ。

 ピストンズは一昨季終了後にドゥエイン・ケイシーHC(ヘッドコーチ)、昨季終了後にはモンティ・ウィリアムズHCを解任し、今オフにJB・ビッカースタッフ新HCを招聘。カニングハムにとってはキャリア4年目で3人目の指揮官と戦うこととなった。

 今夏にチームとMAX額の延長契約を結んだ23歳のガードは、これまで期待に見合う成功を収めてきたとは言えないものの、本人はピストンズでプレーできていることに感謝していた。

「僕はドラフトロッタリー(指名順位の抽選会)で、ピストンズが全体1位指名権を手にした瞬間を見ていた。その時は自分があのチームからドラフトされることが目標だった。そして僕は今、デトロイトで経験を積んでいる。自分がやっていることを理解していない人は多い。僕はここにいることをありがたく思っているよ」
  ピストンズは現在5シーズン連続を含め、ここ15年間でプレーオフ出場はわずか2度に終わっている。かつてはアイザイア・トーマスやジョー・デュマース、ビル・レインビア、デニス・ロッドマンらを擁した“バッドボーイズ”で1989、90年に2連覇、2004年にもチャンシー・ビラップスにベン・ウォーレス、リチャード・ハミルトンといった選手たちを擁して頂点に立ったが、栄光の時代から遠ざかって久しい。

 強力なガード陣が主役となり、強固なディフェンスと堅実なオフェンスの融合でリーグの頂点に立ってきた歴史を持つピストンズについて、カニングハムはこう話す。

「この球団のためにプレーすることがどれほど光栄なことか僕にはわかっている。だからその期待に応えられるように、この球団の歴史に何かを持ち込もうとトライしている。デトロイト・バスケットボールに自分の時代を作り上げたいんだ」

 プレシーズンマッチを3勝2敗で終えたピストンズは、23日(日本時間24日)のインディアナ・ペイサーズ戦でレギュラーシーズンが開幕。クリーブランド・キャバリアーズをプレーオフチームへ引き上げたビッカースタッフHCの下、再始動していくこととなる。

 ロスターにはカニングハムにジェイデン・アイビー、アサー・トンプソン、ジェイレン・デューレン、シモーネ・フォンテッキオ、アイザイア・スチュワートといった昨季から残る選手たちに加え、新加入のトバイアス・ハリス、ティム・ハーダウェイJr.、マリーク・ビーズリーらベテラン陣、新人のロン・ホランド二世といった若手も融合して、戦える布陣になりつつある。

 低迷から脱却し、プレーオフ常連へ返り咲くまではまだ時間がかかるだろうが、名門の顔としての自覚を持つカニングハムを中心に、今季は面白いバスケットボールを見せてくれそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)