アビスパ福岡のFWウェリントンのスポーツマンシップが鹿島ファンの心を掴んだ。
福岡は10月19日、J1第34節で鹿島アントラーズと敵地で対戦し、0-0で引き分けた。
試合では球際で激しいバトルが繰り広げられ、両チーム通じて5枚のイエローカードが出た。なかでも福岡のウェリントンと鹿島のCB関川郁万は両者譲らず、17分には鹿島のFKから福岡のゴール前で競り合いとなった場面で激しく接触し、このプレーでウェリントンが出血した。
直後にウェリントンは主審に異議を唱える。さらに、ゴール裏の鹿島サポーターからは大きなブーイングが沸き起こると、ウェリントンは激しいジェスチャーで抗議した。
もっとも、フル出場したウェリントンは試合後に鹿島のゴール裏へ向かうと、深々と一礼。鹿島サポーターからは大きな拍手が送られた。
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試合後にウェリントンがその一礼の意味を以下のように打ち明けた。
「関川選手とは、お互いに悪意を持ってぶつかったわけじゃありません。自分は鼻を4針縫う出血もしました。鹿島さんのサポーターがすごくブーイングをしていましたが、それはもちろん、どっちのチームもやっぱり試合に勝ちたいという熱い気持ちがあるなかでのこと。それに対して、自分がちょっとジェスチャーをしてしまった。なんて言うんですかね、試合のなかでお互いが熱くなって起こってしまったことです。
だから、試合が終わった時に冷静になって、やっぱりみんなサッカーファミリーなので、良くない行動をしてしまったことに対して、鹿島さんのサポーターに対して、あそこで謝罪することによって、お互いが気持ち良く帰れるんじゃないかなと。
もちろん、彼らもきっと自分が倒れた時に大きな怪我をして、出血までしていたということは分かってなかったかもしれないし、サッカーの激しい試合の中でよくあることなので。ただ、自分のジェスチャーに対してのゴメンなさいという気持ちです」
ウェリントンは試合中の激しさとは打って変わって、試合後は鹿島の選手たちともにこやかに握手してスタジアムを後にした。
取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)
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