痛恨の無線トラブルでクローズ中のピットレーンへ……60秒ストップペナルティ受けた8号車ARTAのエンジニアが当時の状況を説明

 スーパーGT第7戦オートポリスの決勝レース前半、FCY(フルコースイエロー)が出されてピットレーン入口がクローズとなっている際、8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTがピットインし、何も作業せずにコースに戻っていくという奇妙な光景が見られた。これについて8号車担当のパフォーマンスエンジニア、一瀬俊浩氏に話を聞いた。

 FCYが出されたのは開始から40分が経過する頃、19号車WedsSport ADVAN GR Supraがコース脇にストップしたことで原因だった。これにより各車はピットレーンに進入することが禁止されるが、8号車をドライブする松下信治はスロー走行のままピットレーンに入っていき、チームピットボックスに停車した。

 その脇にはチームメイトの野尻智紀も待機していたが、松下にそのまま行くよう指示するようなジェスチャーをしていた。8号車は特に作業することもなくピットアウト。ただピットレーンクローズ中のピットインは違反であり、ペナルティストップ60秒という重い罰則が科された。

 これについて一瀬エンジニアは、レースが始まってすぐに無線が通じなくなっていたと言い、次のように語った。

「僕らは無線が通じていなくて、サインボードでコミュニケーションをしていました」

「パレードラップの時は双方向で通信できていましたが、レースが始まってからは全くでした」

「それに気付くのも遅くなってしまいました。『無線聞こえてたらパッシングして』とか言ったんですけど、あまり反応はなく。1回(パッシングが)あったと思ったら、それは向こうが自発的に『無線聞こえてないよ』との意思表示でしてくれていたみたいで。そういった感じでやり取りができていませんでした」

「そしてちょうどあの周回に、サインボードでボックス(ピットイン)の指示を出していました。それでFCYが出たので(無線で)『入るな入るな』と言っていましたが、それも聞こえていなくて……入ってしまったということです」

 思わぬトラブルもあり、チェッカーを受けた車両の中では最下位となる11位に終わった8号車。今回はシビックからさらなるパフォーマンスを引き出すべく、チャレンジングなセットアップをしていたというが、それが大当たり……とはならなかった様子。ホンダ勢は100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTがタイトル争いに絡めているとはいえ、陣営全体としてはなかなか噛み合わないレースが続いてしまっている。