2026年のF1マシン、規則の微調整で1周2秒も速く!? ダウンフォース向上で現行マシンと近いパフォーマンスに

 2026年に登場する次世代F1マシンの概略は今年6月に発表されたが、そのパフォーマンスに対する懸念が表明されたため、レギュレーションの調整が行なわれ、現行F1マシンに近いレベルまでパフォーマンスが引き上げられたようだ。

 FIAのシングルシーター担当責任者であるニコラス・トンバジス曰く、新バージョンのレギュレーションでは現行マシンよりも1周あたり1秒程度遅くなるレベルに収まるはずだという。

「次世代マシンの性能は、おそらくダウンフォースで50ポイントほど向上している。これにより、ダウンフォースという点で現行車両と比較してマイナス40%からマイナス15%ほどになった」

 

「パフォーマンスという点では、マシンのラップタイムは現行車に非常に近い。すべて6月に約束した通りに行なわれている」

 もしカナダGPに先駆けて6月に発表されたレギュレーションに何の変更も加えられていなかったら、マシンの速さはどうなっていたかと尋ねられたトンバジスは、「もし6月以降に何も変更がなかったとしたら、おそらくもう2秒ほど遅くなっていただろうね」と答えた。

 トンバジスは、ダウンフォースとラップタイムを向上させるために2026年に行なわれたレギュレーション変更の焦点はどこにあったかを説明した。

「エアロダイナミクスの主な変更点は、フロントウイングのボックスを少し大きくしたことだ。フロントウイングのフェンスと、以前のマシンにあったスタイルも追加した」

「サイドボードなど、フロントフロアの前にデバイス用のスペースを追加した。ディフューザーのサイズも大きくなり、より前方から始まり、少し大きくなった」

「フロントホイールまわりのボディワークの一部を再設計した。リヤのホディワークやその部分のディフューザーとの相互作用については作業が進められており、次回のモータースポーツ評議会で最終的な決定が行なわれることを期待している」

 最新のレギュレーション草案では、フロントウイングに関していくつか変更が加えられており、エンドプレートが厚くなる他、トンバジスの言う通りフロントウイングエレメントの存在が許容される領域が拡大される。

 また、フロントウイングアッセンブリの下面にはストレーキが復活するようだ。気流を整えるためのストレーキは、2019年のレギュレーション変更で削除されていた。

 フロアには”リーディングエッジ・デバイス”も導入されるという。最大5つのセクションに分かれたこのデバイスは、フロア自体の気密性向上に貢献するようだ。フロアボードのセクションはふたつから3つになり、それに応じて寸法の制約も調整された。

 フロアアッセンブリのたわみを減らすための補強として使われる金属ステーの数も2本から3本に増え、フロアボードのステーも6本まで許容されるようになった。

 過度な変更ではないものの、フロントからリヤにかけての変更は、新世代F1マシンのダウンフォースを増大させるのに十分なポテンシャルを提供している。