F1アメリカGPの決勝レースで、RBのリアム・ローソンは9位入賞。約1年ぶりのF1実戦、パワーユニット(PU)交換によるグリッド降格ペナルティという数々のハードルを乗り越え、チームメイトの角田裕毅よりも前でフィニッシュしたということは、大金星と言えるだろう。
この結果についてローソンは「こんな結果は期待していなかった」と語った。
ダニエル・リカルドの後任として、アメリカGPからRBのレースシートにカムバックを果たしたローソン。レッドブルのドライバー人事に大きな影響力を持つモータースポーツ・アドバイザーのヘルムート・マルコ博士は、ここからシーズン末までの6戦で角田とのパフォーマンスを比較するつもりだと公言していた。まだ来季のシートを確保できていないローソンにとっては、実に重要な6戦である。
その初戦でローソンは強烈な印象を見せた。PU交換によるグリッド降格ペナルティを受けるため、比較の対象外とも言われていたこのアメリカGPで、展開恵まれた部分もあったとはいえ不利な状況を跳ね除け、9位入賞。角田は14位だったことを考えれば、今回はローソンに軍配が上がった。
「良いレースだった。正直、こんな結果になるとは思っていなかったんだ」
ローソンはチームのプレスリリースにそうコメントを寄せた。
「1周目は素晴らしかった。僕はあらゆる隙間を狙ってポジションを上げた。昨日、マシンの面で本当に良いステップアップができたから、今日のレースでもそれが再現できればいいなと思っていたんだけど、ありがたいことに本当にそうなった」
「マシンは本当に強く、まさに期待通りの走りを見せてくれた。ハードタイヤもうまく機能し、ペースもよかった」
ハードタイヤを履いてスタートしたローソンは、36周を走ったところでピットイン。角田の目の前でコースに復帰した。その時にはすぐ前にアルピーヌのピエール・ガスリーがいたが、これをすぐにオーバーテイクすると、前に誰もいない……つまりクリーンエアのポジションを走ることができることになった。
このことが、ミディアムタイヤを労ることに繋がったと、ローソンが説明する。
「ピットストップした後、クリーンエアを得られたことで、予定よりも長く走行することができた。僕としては、昨日のスプリントで他の人たちがやっていたことを覚えておいたことが、本当に役立ったと思う」
「チームの全員が、僕がこのレースに向けて準備をする上で、多大な努力をしてくれた。このマシンに乗って初めての週末になるから、多くの時間を費やしてくれたんだ。この結果を実現させてくれたチームの全員に、心から感謝している」
「メキシコのコースはこことは違うから、そこで何ができるか見てみることにしよう」
なおマルコ博士は、アメリカGPでのローソンを「完璧」と評価した。
「まさに完璧だった。彼らは戦術的な駆け引きをしていた。そして19番手から9位まで上り詰めた。ラップタイムも、アロンソをオーバーテイクをしたのも完璧だったね」
「彼はとてもタフなレーサーで、スピードがあること示した」
これでローソンは来季のレッドブルの有力候補となったのか? そう尋ねられたマルコ博士は「ははは。状況を評価し、見守ると言っただけだ」と答えた。