23号車NISMO Z、悔しい悔しい2位。千代の爆走でリード広げるも何度も水泡に「セーフティカーが入る度『最悪だ……!』って」

 3時間のレースで4回セーフティカーが出動し、多くのチームがそれに翻弄されたスーパーGT第7戦オートポリス。そんな“神のイタズラ”に最も振り回されたと言えるのが、23号車MOTUL AUTECH Zだった。

 予選で2番グリッドを獲得した23号車は、レース開始から20分が経過した12周目に24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zを抜いてトップ浮上。スタートドライバーの千代勝正はリードをぐんぐん広げていき、開始からわずか40分で2番手以下に20秒以上の差をつける独走状態となった。

 しかしながら、19号車WedsSport ADVAN GR Supraのストップによりセーフティカー出動。これで23号車のリードは帳消しとなった。トップでリスタートを迎え、1回目のピットストップを終えて再びリードを広げようとしていた23号車だったが、開始70分過ぎに17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTのクラッシュで2度目のSC出動。再び仕切り直しとなった。

 しかしペースの良い23号車の千代は、またマージンを築き始めた。しかも、また20秒の大量リードだ。千代は60周を走ってロニー・クインタレッリにバトンタッチ。あとは問題なくチェッカーまでマシンを運ぶだけ……。そう思われたが、1周後に64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTのクラッシュが発生。これとほぼ同時にピットインした39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraが大きく得をすることになり、23号車の前でコースに復帰したのだ。

 クインタレッリはこう説明する。

「ウォームアップも順調で、リードをキープできそうな状況だった。でもアウトラップのジェットコースターストレートにいる時にセーフティカーが出て、僕はGT300車両の後ろについて走らないと行けなくなった」

「それでメインストレートを走っている時、39号車がピットアウトするのが見えた。その時はかなり動揺したね」

 そしてリスタートで首位の39号車を捉えたかったクインタレッリだったが、ピックアップに苦しむようになったことで逆にライバルからプレッシャーをかけられる展開に。結果的にポジションを落とすことはなく2位でフィニッシュしたものの、勝てるレースを落とす形になってしまった。

 この結果には当然、ドライバー両名共に悔しさをあらわにした。前半スティントで圧倒的なパフォーマンスを見せていた千代は「運だけがなかった」と肩を落とした。

「めちゃめちゃ悔しい。今週は勝てるレースでした」

「レースをリードして、セーフティカーが入る度に『最悪だ……!』ってなっていましたね(苦笑)。ただ1回目と2回目のセーフティカーは、その後にギャップを作ることができていたので、それでそのまま(クインタレッリがドライブする)第3スティントに向かえば十分なセーフティリードがあったと思います」

「それで(クインタレッリが)ピットから出て行ったら、次の周に39号車がピットインした時にまたセーフティカーが出ましたよね。あれでもう全てが終わりました」

「だから、僕らになかったのは運ですね。チームはみんなベストな仕事をしました。パーフェクトな仕事だったと思います。次のレースウィークは運も味方につけられるようにしたいです」

 予選ポイントと合わせて、優勝で22ポイントを荒稼ぎするチャンスだった23号車のふたりだが、2位に終わったことで17ポイントの加点に終わった。ただトップと13点差のランキング6番手は、残り2戦で逆転チャンピオンという目標が十分射程圏内に入っていると言える。ただその一方で、次戦もてぎでビッグポイントが獲得できなければ、一気に厳しい状況に置かれるのは間違いないだろう。

 昨年NDDP RACINGの3号車でタイトル争いを繰り広げ、今季は日産のエースナンバーを背負う千代。チームの進歩も実感できていると話すが、タイトル争いの展望についてはもてぎ戦次第だとした。

「前回から色んな事を見直して、チームはすごく良くなりました。ひとつひとつのコミュニケーション、アジャスト、全てにおいてチームは成長しているので、それが結果に表れたのはポジティブです。もっともっと強いチームを作っていけるように頑張りながら、ドライバーとしても良いパフォーマンスを見せたいですね」

「(タイトル争いは)今回次第かなと思っていましたが、もてぎ次第になりましたね(笑)。もてぎが終わった時に、チャンピオン争いに絡んでいけるようにしたいです」