F1第19戦のアメリカ・グランプリが10月20日に決勝が行なわれ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は14位に終わり、6戦ぶりのポイント獲得はならなかった。
【動画】角田裕毅がレッドブル昇格のライバル、ペレスとローソンを上回ってSQ3進出! 予選ではQ3進出は逃したものの11番手につけ、さらに繰り上がりでの10番グリッドということで入賞も望める位置からのスタートとなった角田は、序盤にポジションを上げるも徐々にペースが落ち、18周でミディアムからハードにタイヤを履き替えて巻き返しを図ったものの上手くいかず。41周目にピエール・ガスリー(アルピーヌ)とバトルを展開していた際に痛恨のスピンを喫して14番手にポジションダウンしてしまった。
失意のレースを終えた後、角田は「今日は厳しく、悔しいレースになりました。ハードタイヤでスタートして第1スティントを長く保ってミディアムに変えるという他チームとは異なり、ミディアムでのスタートで1ストップという戦略を選びました。今後のために、何か改善できる点があったのかを見直す必要があります」と、チームの公式サイトで振り返り、さらに以下のように続けている。
「残念ながら、レースの後半でミスをしてしまい、ターン1でコントロールを失ってスピンしてしまいました。それがレースに良くない影響を与えたのは間違いありません。この瞬間はとても奇妙であり、何が起こったのか正直よく分かりません。だからこそ、しっかりと原因を確認する必要があります。次のメキシコでは、もっと強くなって戻ってきます」
またメディアのインタビューでは、「(ミディアム・スタートでの)1ストップは上手くいきませんでした。(ニコ・)ヒュルケンベルク(11番スタートから8位フィニッシュ)のようにハードでスタートしたドライバーは第1スティントを長くもたせていました)と戦略の誤りを指摘したが、前述のスピンやアレクサンダー・アルボンをコース外に押し出してペナルティーを受けたことについては「あれは自分のせいです」と自身のミスを認めた(フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』より)。
RBはSNSで、この日本人ドライバーに対して「ユウキの素晴らしいドライビング。スピンは不運だったが、メキシコに向けてのさらなるモチベーションになった」と賛辞を贈ったが、テクニカルディレクターのジョディ・エッギントン氏は、角田の厳しいレースを以下のように総括した。
「序盤は中団争いの前方で堅実に走行したが、ペースが少し落ち始め、後方からのプレッシャーもあったため、予定より少し早いピットストップを断行せざるを得なかった。加えて、ハードタイヤをもたせるために、レースの中盤で少し順位を落とす結果となった。そして、終盤にプッシュしている際に5秒ペナルティーを受け、さらにピエールを抜こうとしてスピンしてしまい、レース終盤のポイント争いには加われなかった」
一方、チーム代表のローラン・メキーズは、「ユウキは週末を通して力強いペースを見せた。レースでは最初のスティントを良い形で終えたが、第2スティントではクリアなスペースがあまりなく、ガスリーの後ろに留まるしかなかった」と角田に言及。また、7ポイントを獲得したハースに対し、リアム・ローソンの2ポイント獲得に止まったことでコンストラクターズ・チャンピオンシップ6位の座を明け渡したものの、「アップデートした後のパフォーマンスには満足している」とポジティブな見解を示している。 各国専門メディアの報道では、ブラジルのF1専門サイト『F1 MANIA』は「RBは、ローソンが重要なポイントを獲得した一方で、角田は苛立ちの募るレースに直面と、波乱の週末を過ごした」「角田は複雑な状況に陥り、レースを通して苦戦を余儀なくされた」、前出の『NEXTGEN-AUTO』は「ユウキは厳しいレースを強いられ、とりわけ戦略の誤算によってポイント圏外に終わった」と、それぞれ伝えた。 一方、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は「ペナルティーとスピンにより、ユウキのレースは台無しになった。10番手スタートの日本人ドライバーは、ポイント圏内に留まるために戦うことになり、セルジオ・ペレス、ヒュルケンベルグ、ジョージ・ラッセル、アルボンといったドライバーたちとホイール・トゥ・ホイールで争い、その中で限界を超えてしまった。そして2回目のピットストップでチームメイトにポジションを奪われ、さらにブレーキングミスによるスピンでさらに順位を落とした」と綴っている。
この週末はやはり、F1再デビューを飾ったローソンとの対決の始まりとして注目を集めていたが、最後尾スタートとなったニュージーランド人ドライバーにオーバーカットを許した際には、角田が無線で「どうしてこんなことになったのか教えてくれ!」と声を荒げたことも各国メディアに報じられた。
英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、ローソンを称賛する中で「『VCARB01』が必要な進化を遂げたこともあり、サマーブレイク以降のRBで、角田、ダニエル・リカルドよりも多くのポイントを即座に獲得した」と報じたが、第1ラウンドは残念ながら敗北を喫した角田が、トリプルヘッダーの2戦目でいかなる反撃を見せるのかが非常に興味深いところだ。
構成●THE DIGEST編集部
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