F1タイトルの希望は失われた? ランド・ノリス、アメリカGP敗戦で「勢い殺された」と認める

 F1アメリカGPを終えたランド・ノリス(マクラーレン)は、今回のレースによってマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とのタイトル争いに向けた勢いが失われたと考えている。

 ノリスはF1アメリカGPに、ドライバーズタイトル争いで首位のフェルスタッペンに対して52ポイント差という状況で臨んだ。

 今シーズンのタイトル獲得の可能性を手繰り寄せる上で1戦1戦が重要なノリス。しかしアメリカGPではスプリント、そして決勝でともにフェルスタッペンに敗北してしまい、5ポイント差を広げられる結果に終わった。

 決勝レースではペナルティによって3位をフェルスタッペンに明け渡すことになったのも、ノリスにとっては痛い展開だったと言える。

 レースを終えたノリスに、このアメリカGPがタイトル獲得の可能性にどのくらい影響を及ぼしたと思うかと尋ねると、彼は勢いが殺されてしまったと答えた。

「かなり影響がある。勢いが殺されてしまった」

「だけど、僕らはここにオープンな気持ちでやってきたんだ。支配することや、勝つことなんて期待していなかった。事実としてフェラーリが速かったし、それは彼らにも競争力があることを示しているんだ」

「もしターン1をトップで立ち上がっていたとしても、僕は1位や2位で終わることはなく、3位フィニッシュしかできなかっただろうね」

「僕が倒さなくちゃいけない唯一の相手がマックスだった。そして倒す事はできなかった。だから全体としては成功した週末とはならなかったんだ」

「それでも僕らはベストを尽くした。挑んだんだ。ただそれで十分では無かったんだ。僕らにはやるべきことがあるし、僕自身もすべきことがある」

 マクラーレンはアメリカGPにおいて、最近のレースほど好調ではなかった。ただアンドレア・ステラ代表は、今回の状況は予想外のことではなかったと話している。

 ステラ代表は、前回のシンガポールGPで相手を圧倒したのに対して、今回劣っていたのはコース特性によるところが大きいと説明した。

「シンガポールとここを比較すると、ここは低速コーナーに向けて急減速する部分が多いし、風も強い。そうしたコンディションでは、必ずしも我々のマシンのパフォーマンスがベストなものになるわけではないと分かっているんだ」

「シンガポール、ザントフールトそしてハンガリーで我々が経験してきたような、風の弱く中速コーナーがより多いコンディションほどは良くないんだ」

「今言った3つのサーキットが我々に適していることは分かっていた。そしてここでは、残り6つのイベントの中で、我々にとって最も厳しいだろうということも予想していた」

 またステラ代表は、アメリカGPでフェラーリが見せた強さも、大きな衝撃があったわけではないと語っている。

「彼ら(フェラーリ)はこれまでのレースでもかなり一貫して速さを見せていた」

「どちらかと言えば、彼らはそのポテンシャルを最大限発揮できていなかったんだ」

「バクー(アゼルバイジャン)では、ルクレール(シャルル・ルクレール)は間違いなくレースに勝てる状態だった。シンガポールでは、我々はルクレールにポールポジションをとれる力があり、レースでも同様だと考えていた。つまり、フェラーリがこれほど近いことに驚きはないということだ」

「今後のサーキットは、我々のマシン特性により適したものになるはずだ。しかしマシンの開発を続けなくてはならない」

「ここではマシンのフロント部分でいくつか開発を進めていたが、ラップタイムへの影響という面では、それほど影響は大きくなかった。我々は今後2レースでさらにいくつかのモノを予定しているが、それによってマシンの競争力を変化させられるかどうかが、明らかになってくるだろう」

Additional reporting by Alex Kalinauckas