日産、フォーミュラE女性限定テストにF1傘下シリーズ戦うアルピーヌ育成フローシュ&プリングを起用

 フォーミュラEは、11月にスペイン・バレンシアで女性ドライバー限定のルーキーテストを実施する。それに向けて日産は、アライアンスを結ぶルノー傘下ブランドであるアルピーヌの育成プログラムに所属するソフィア・フローシュとアビ・プリングのふたりを起用すると発表した。

 12月7日にサンパウロE-Prixで開幕するフォーミュラEのシーズン11(2024-25)に向け、11月4日から11月7日にかけてリカルド・トルモサーキットで実施されるプレシーズンテスト。全11チームが一同に会し4日間にわたって走行が行なわれる。

 このうち11月7日の午後セッションは女性ドライバー限定。2018年のサウジアラビア・ディルイーヤで行なわれたインシーズンテストでも同様のアプローチが採られた。今回は少なくとも女性ドライバーを1名起用することが各チームに義務付けられた。

 ただシリーズ側は女性ドライバーを2名起用することを奨励しており、日産はフローシュとプリングの2名を起用する。

 ドイツ出身のフローシュはF1直下シリーズやヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)、世界耐久選手権(WEC)へ出場し、ル・マン24時間レースにも3度挑戦した経歴の持ち主。今年はFIA F3に参戦している。

 またイギリス出身のプリングは今年、イギリスF4で女性ドライバーとして初めて優勝。女性限定フォーミュラシリーズであるF1アカデミーでは今年、10戦7勝と圧倒的なシーズンを送っている。

 フローシュとプリングは、レギュラードライバーと同様に、シーズン11からフォーミュラEに導入される新車両GEN3 Evoを走らせることになる。既に両ドライバーとも、日産フォーミュラEチームが拠点を置くフランス・パリでクルーとの作業やシミュレータも実施。ルーキーテストに向けた準備を進めている。

 テスト参加に向けてフローシュは、チームをサポートできるようテストの機会を最大限活かしたいと意気込んだ。

「最新のフォーミュラEマシンを運転する機会を得られてとても興奮しています」とフローシュは言う。

「これまでのモータースポーツの経験とは大きく異なりますが、新しいことに挑戦するのはワクワクします。シーズン11に向けてチームをサポートできるよう、テストの機会を最大限に活かせるように意気込んでいます」

「バレンシアに向けて可能な限り万全な準備をするためにシミュレーター操作を積み重ねていきます。この素晴らしい機会に挑むのが待ちきれません!」

 またプリングは、回生システムを駆使する特殊なフォーミュラEマシンを走らせることから多くを学び得たいと語った。

「長い間フォーミュラEマシンを運転したいと思っていたので、ドライブする機会を得られ、夢のように感じていますし、日産のクルー指導のもとで車を学べることに非常に興奮しています」とプリングは言う。

「学ぶことが多く、取りまとめるべきことも多いので、一歩ずつ進めていきます。慣れ親しんだ環境とは全く異なりますが、チームが求めることをしっかり実践し、共に実りあるテストとなるよう集中します」

 なお、日産フォーミュラEチームでゼネラルマネージャー兼日産マネージングダイレクターを務めるトマソ・ヴォルペは、今回の走行がフローシュとプリングのキャリア形成において有益な経験になると語った。

「女性ドライバーにフォーミュラEマシンをテストする機会を提供するこの素晴らしい取り組みに、日産チームから2名の輝かしい経歴をもつ女性ドライバーが参加できることを非常に嬉しく思う」とヴォルペは言う。

「近年、女性レーシングドライバーは増加しているが、この流れを加速させることに貢献出来て誇りに思う。フローシュとプリングにとっては素晴らしい学びの機会であり、テストの際に遭遇する課題を解決する手助けをしてくれるだろう」

「マシンの運転は簡単ではないため、テスト前にワークショップやシミュレーターで十分な準備を行なう」

「フローシュとプリングにとって、モータースポーツのキャリアを積む素晴らしい経験になると思うし、チームにとっても前進するための有益なセッションとなるだろう」

 なおフォーミュラEが創設されてからの10年間で、レースに出場した女性ドライバーは3人しかいない。

 キャサリン・レッグは2014年にアムリン・アグリから2戦に出場し、いずれもポイント圏内でフィニッシュしている。同時期にトゥルーリ・フォーミュラEチームに所属していたミケーラ・セルッティも4戦に出場。シモーナ・デ・シルベストロはアンドレッティから12戦に出場し、2016年に2度の9位フィニッシュが最高だった。