上手さ、運動量、戦術眼。16歳とは思えぬ落ち着きも。広島ユースの俊英MF野口蓮斗がアジアの舞台に挑む「負けられない戦いが始まった」【U-16代表】

 現地10月22日、U-17アジアカップ予選を戦うU-16日本代表は、開催地のカタールでトレーニングを行なった。

 今予選は来年2月の本大会行きを懸けた戦いで、各組1位と2位の上位5チームが出場権を手にできる。そのU-17アジアカップは来秋のU-17ワールドカップの最終予選も兼ねている。

 今回からワールドカップの参加チーム数が24か国から48か国に増え、25年大会からは5大会連続でカタール開催に。アジアの枠は往来の4か国から9か国(開催国のカタールを含む)に広がっており、出場権獲得の難易度は下がったと言える。

 それでも、アジアの戦いが厳しいのは間違いない。特に今回のアジアカップ予選で日本はホスト国カタールと同じ組だ。万が一、27日の最終戦でカタールに敗れた場合は2位の可能性もあるだけに、シビアな戦いが待ち受けていると言っていい。

 そうした状況下で日本はエースストライカーのFW吉田湊海(鹿島ユース)、司令塔のMF神田泰斗(大宮)がコンディション不良で不在。少なからず不安材料があるなかで、チームを牽引する役割を期待されているのが、広島ユースのMF野口蓮斗(1年)だ。

 上手さに加え、ピッチを所狭しと走れる運動量と確かな戦術眼を持ち合わせており、16歳とは思えない落ち着きもある。ソレッソ熊本U-15から広島ユースに加入して約半年。当初は出場機会を得られず、壁に当たった時期もあった。しかし、今年7月のクラブユース選手権で成長のきっかけを掴む。
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 京都U-18とのグループステージ初戦(2-1)で加入後初めて先発出場の機会を得ると、3-4-2-1のボランチでプレー。2つ上の先輩ですでにトップチームデビューを飾っているMF中島洋太朗(3年)とコンビを組み、持ち味を出してチームの勝利に貢献した。そこから先発出場を増やし、「やれるなという自信がついてきた」(野口)。

 中島と同じピッチに立つ機会が増えた点もプラスだ。「先輩の良いところを見て盗むことができた」のも大きい。特に学んだのはプレーの強度。「自分も高い基準に追い付こうと頑張れたので良かった」という。

 23日にはネバールとの初戦を控えている。そこでどれだけ自分のプレーを発揮できるのか。

「負けられない戦いが始まったのを感じるし、今までとは違う緊張感がある」とは野口の言葉。日の丸を背負う責任と覚悟を改めて口にした背番号6は、大舞台に向けて大きな一歩を踏み出す。

「今回の予選は3戦全勝して終わらないといけない。積極的に色んな人とコミュニケーションを取って、初戦に臨みたいです」と、意気込みを語った注目株から目が離せない。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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