鼻をつまむ女性(画像はAIで生成したイメージ)

「わっ! カメムシがついた! 臭い! 臭いがとれない! どうしよう?」

某日、本誌記者は地下鉄のホームで若い女性が大騒ぎしているのを目撃した。

今年は、悪臭を放つカメムシが例年より約10倍も大量発生。この状況は10月末ごろまで予想され“実りの秋”の農作物収穫にも大打撃を与えている。

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「カメムシは冬の寒さで一定数は死んでいたんですが、近年は地球温暖化の影響で暖冬が続き、越冬するカメムシが増えています。今年も暖冬でしたから、ある程度の大量発生は予想できたんですが、例年の10倍とは想定外。秋に収穫する新米、柿、ミカンなど全国各地でカメムシによる農作物被害が報告されています」(害虫対策ジャーナリスト)

カメムシとは、カメムシ目・カメムシ亜目に属する昆虫の総称で、体が亀の甲羅のような形をしていることからカメムシと呼ばれている。

悪臭は“警戒フェロモン”

刺激を与えると異臭を放つことから地方によっては「へコキムシ」、「ヘッピリムシ」、「ヘクサムシ」、「ヘヒリムシ」、「へクサンボ」、「クサムシ」、「フウ」などの呼び名がある。

「悪臭だけではなく、農作物を荒らすため、害虫として扱われている。日本でよく見かけるカメムシは、クサギカメムシ、スコットカメムシ、マルカメムシ、アオクサカメムシ、ホオズキカメムシなどです。これらはカボチャやピーマン、大豆、果物といった農作物から草花など、さまざまな植物を好み、その周辺に生息する。ストローのような口器で植物の汁を吸うため、農作物に被害が出るのです」(昆虫ライター)

カメムシが悪臭を放つのは、威嚇や防御効果で外敵から身を守るため。同時に仲間に危険を知らせる“警戒フェロモン”としての役割も担っている。

「カメムシ対策として、洗濯物についている場合は凍結スプレーを噴射すれば悪臭を出さずに駆除できる。しかし、農作物に関しては殺虫剤や防虫剤を散布しても効果がなく、生産者は頭を痛めています」(前出・害虫対策ジャーナリスト)

食欲の秋に、予想外の天敵が現れた。

「週刊実話」10月31日号より