“アメリカ戦のような戦い方はしたくない”長谷川唯がそう言い切った理由「勝つためのサッカーって考えたら…」【なでしこジャパン】

 2024年10月23日、なでしこジャパンが同26日の韓国戦に向けて千葉県内で全体トレーニングを実施。ゲーム形式の練習になると、選手たちは“前からの守備”を主に意識しながらプレーしているようだった。

 その後、囲み取材に応じた長谷川唯は「前から行く守備は個人的に好き。やりたいことは今日の練習で示せました」とコメント。佐々木則夫監督代行、狩野倫久と内田篤人の両コーチの下、“アグレッシブな守備”が大きなテーマになっていることを彼女は明かした。

「前の選手が守備のスイッチを入れてくれるのがベストなので、後ろの選手はそれにしっかり対応できるようにしていく中で、無理な時の声掛けもしていければと。最近、前からの守備ができていなかったので、その意味では取られた後、すぐに相手を囲んだり、追うことだったり、自分たちからスイッチを入れていきたい」(長谷川)

 パリ五輪の準々決勝、立ち上がりから引いて守ったアメリカ戦とは真逆の戦い方である。そこで長谷川に訊いてみた。「アメリカ戦はベストな戦い方をした印象ですが、結果として負けました。それを受けての改善点、今のチームに落とし込みたい点は何か?」と。

 すると、長谷川は「正直、この前のタイミングでのアメリカ戦は、あの戦い方がベストだった」と答えたうえで、持論を展開した。

「ただ、自分たちが勝つためのサッカーって考えたら、やっぱり前からボールを奪ってゴールまで最短というのがベスト。アメリカ戦のような戦い方だとどうしてもチャンスの数が少なくなってしまいます」
 
 長谷川は「そもそも、チームが新しくなったタイミングでアメリカ戦のようにならない戦い方を落とし込まないといけないのがまずある」と言い切った。

「(なでしこジャパンの)監督が正式決定していない状況ですけど、前からボールを奪うコンセプトはポジティブに映ります。もちろん試合中に引くスタンスに変わるシチュエーションはあるはずですが、できれば最初から引く戦い方はしたくないです」

 臨機応変に戦い方を変えられるのがベストだと、長谷川はそう主張したいのだ。

「時間帯によっては引いて守る守備もあるよと。前からの守備がはまらない時にミドルゾーンでブロックを作るなり、そういうのは効果的です。今後は試合の中で変えられる力も(チームとして)身に付けないといけません」

 いわゆるハイプレスがベースとなれば1対1で負けない強さも求められるが、海外組が多く占める今のなでしこジャパンならそういう戦い方もできると長谷川は確信している。

「過去、前からはめに行っても適当に(ボールを)裏に蹴られてやられてしまうケースがありましたが、今は海外組が多くなって1対1に対応できるようになってきています。身体能力で劣っているからプラス1を作るのではなく、はっきりと1対1で勝てるように、個人の力を付けつつ世界的な戦術についていかないと厳しい。1対1でも勝てる前提で、必要に応じてプラス1を作れるようになればベストです」

 26日の韓国戦で新しいコンセプトを示せるか。前からの連動した守備に注目したい。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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