東アジアの共産主義国家といえば、中国と北朝鮮。そのうち北朝鮮は、金一族による事実上の世襲制なのは誰もが知るところ。だが、中国はこのような体制を敷いておらず、共産党内での後継者争いが常習化している。
ちなみに現在の中国の礎を築いた人物といえば、初代国家主席の毛沢東。その唯一の孫である毛新宇氏は、人民解放軍の少将で軍事科学院戦争理論戦略研究部副部長を務める。要職のひとつであるのは間違いないが、一方で共産党の最高決定機関の党大会代表には17年に落選している。
「祖父は偉大でも共産党内での影響力は皆無。その点、人民解放軍でも一応幹部ですが、権力の中枢から程遠い。周りが彼を担ごうとする動きもなく、本人も政治的野心があまりないと言われています」(中国事情に詳しい大手紙記者)
しかし、その血筋ゆえかメディアの取材を受けることも多く、毛新宇自身も奔放な発言を連発。なにより北朝鮮の金正恩総書記のような超肥満体型のせいか、“ブタ少将”という不名誉な愛称を付けられてしまうほど。さらに中国のネット上では《金正恩に本当にソックリ》《ブタ少将と呼ぶのは、ブタに失礼だ!》《毛沢東も墓場で泣いている》《権力のない金正恩》などイジるコメントで溢れている。
「言論統制を行う中国政府も、彼に対する書き込みには寛容です(苦笑)。ただ、クリエイターとしての才能はあるらしく、中国で大ヒットしたテレビドラマ『江山如此多嬌』と『女紅軍女将軍風采録』のプロデューサーを務め、別の作品では原作を担当していますね」(同)
過去にも死亡説が流れ、習近平国家主席が毛新宇を嫌っているとの噂もある。下手に政治的野心を見せていれば失脚に追い込まれていた可能性は高く、その点では意外と処世術に長けた人物なのかもしれない。