10月27日に投開票を迎える第50回衆議院議員総選挙。派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で逆風が吹き荒れる中、自民党は「ルールを守る」「暮らしを守る」を優先政策に掲げて、選挙戦を展開している。

 野党の候補5人が立候補した福岡3区で、選挙戦を優位に進めているのが、自民党の古賀篤氏だ。第一次岸田内閣(2021年10月~)で厚生労働副大臣を務め、昨年12月からは内閣府副大臣に抜擢されるなど、岸田文雄前総理を支えてきた側近の一人と知られている。

 今年元日に能登半島地震が発生すると、政府の現地対策本部長に任命され、メディアの取材に「全力を尽くして復旧復興に取り組みたい」「一人の政治家、一人の人間として最後まで支援をしたい」と述べて弱者に寄り添う姿勢を見せていた古賀氏だが、元秘書の男性から「パワハラ」で提訴されたことが、編集部の取材で明らかになった。関係者が証言する。

「原告である60代の男性A氏は2019年に『手取り給与25万円』の契約で秘書として雇用され、選挙区の福岡3区で秘書業務を行っていました。ところが、いざ働いてみると、理不尽な叱責が絶えず、挙句の果てに、『東京事務所の清掃係に降格する』『嫌なら辞めていい』と一方的に通告。古賀氏の事務所では、こうしたパワハラに耐え切れず、秘書が次々と辞めていったのですが、この内部情報を外部に漏らしたとしてA氏を犯人扱いし、2021年10月の選挙で4選を果たすと、その年の12月に一方的に解雇を通告したのです。生活の基盤を失われたA氏は心療内科での治療を余儀なくされ、300万円の損害賠償と不当解雇後の賃金などを求める裁判を起こしたのです」

 古賀氏はいわゆる「裏金議員」とは異なり、自民党の公認を受け、九州ブロックの比例名簿でも上位に名を連ねている。選挙後も議員バッジをつけ続けることはほぼ間違いないと言われているが、このパワハラ疑惑が事実ならば、古賀氏に「暮らしを守る政治」はとうてい期待できそうにない。

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