彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人です。タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けています。 そんなえりのボスのもとには今日も悩みを抱えた女性が立ち寄ったようですよ。悩みはずばり、「更年期のセックス」について――。


【えりのボスの「あと半歩で幸せ」】





やっぱり、女は女優(漫画:腹肉ツヤ子)

1. 更年期に入り、セックスの痛みが増した女性

 ミヤコさん(42歳女性/仮名)の方からご質問を頂きました。

「最近、彼との夜の行為が苦痛で仕方なくて、悩んでるんです…」

「え? 彼とはラブラブだったじゃない? どうしたの?」

 ミヤコさんは深刻な表情で話し始めました。

「彼のことは大好きです。これからも一緒にいたいと思ってるし。でも、最近は夜の行為でほとんど濡れなくて、全然気持ちよくないですし、すごく痛いんです。だけど、彼には痛いからやめてほしいとは言えなくて…」

「そうだったの…それはつらいわね。でも、なかなか言い出しにくいわよね」

「そうなんです。私が気持ちよさそうな演技をしているからだと思うんですけど、彼は全く気付いてないみたいだし。それに、どんなふうに伝えたらいいかもわからなくて」

「そうよね…こんなこと、誰にも相談できないものね。今までひとりで抱え込んでつらかったでしょう?」

「はい。誰にも相談できなくてつらかったです」

「大丈夫よ。性交痛ってめずらしいトラブルではないの。悩んでるのはあなただけじゃないから心配しないで」

「本当ですか? こんなことで悩んでいるのは私だけなんじゃないかって不安だったんです」

 ミヤコさんは今にも泣き出しそうな表情です。

 これは放っておけません!

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2. 更年期に性交痛が起きる原因は?



このまま彼とできなくなるのはイヤ(写真:iStock)

「実はね、閉経前後は性交痛を感じやすくなるのよ。更年期の性交痛の原因のひとつは、エストロゲンの分泌量の低下によって膣粘膜が薄くなって膣の分泌物が減り、膣が乾燥しやすくなるからなの」

「そうなんですか! だから私も濡れなかったんですね」

「そうよ。ほかにも、更年期になると膣の機能が低下して、膣感染症にかかりやすくなるの」

「感染リスクもあるなんて知らなかったです」

「それと、性交痛は心理的要因とも関係しているっていわれているわ。夜の行為で痛い思いをすると、また痛みが出るかもって不安や緊張を感じて、ますます濡れにくくなり、痛みを感じやすくなるのよ」

「まさに今の私がそれです。本当に悪循環なんです」

「そうよね。こんな精神的ストレスが続くと、性欲が低下することもあるのよ」

「このまま彼とできなくなるのはイヤです。どうしたらいいでしょうか?」

「性交痛の対処法はいろいろあるから、お教えしたいわ」

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