今年8月以降、関東で相次いで発生している強盗事件。その数は少なくとも14件にのぼり、30人以上の逮捕者を出している。逮捕者の多くは「指示役」から強盗を指示された「実行役」だが、ここにきて「下見役」の存在がクローズアップされている。社会部記者が語る。

「10月に横浜の住宅で70代の住民男性が殺害された事件では、周辺で不審な人物の訪問や電話があったと報告されています。リフォーム業者や不用品の買い取り業者を名乗り、しつこく家の中を見せるよう要求してきたケースもあったと聞きます。彼らはけっして社名を明かさず、もちろん名刺を出すこともない。彼らが下見役となって、ターゲットを探し、実行役に住民構成や金品のありかなどを伝えていた可能性は高いと言えます」

 そんな中、10月24日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一 モーニングショー」では、下見役を見られる不審者の映像を公開した。同局の松岡朱里アナウンサーが「福岡市早良区で今月に入り、不審な男による住宅への訪問が相次いでいます。警察は何らかの犯行の下見をした可能性があると見て注意を呼び掛けています」とアナウンスすると、現場で記録された防犯カメラの映像が映し出された。

 不審な男は大手通信会社の社員を名乗っていたようだが、カジュアルな服装で、背中にリュックを背負っている。また、家を留守にする時間を尋ねてくるなど、不審な点が多く、社員証の提示も拒否。この地区では同じような相談が10件ほど寄せられており、警察は「犯行の下見の可能性がある」として注意を呼び掛けているという。

「番組で公開した防犯カメラの映像には不審者の姿が捉えられていましたが、顔には大きくボカシが入っていました。一方、訪問を受けた側の住民には何の加工もなく、顔がまるだしの状態。画面には『視聴者提供』と表示されていたので、善意で防犯カメラの映像を提供した“当事者”かもしれませんが、強盗の下見に来た可能性がある男の顔を隠して、住民の顔をそのまま流したことに、多くの視聴者が違和感を抱いた様子。ネット上では『モザイクかける人を間違ってないか』『なぜ住民の顔にモザイクしないの? 危険でしょ』『下見役の顔を公開しろよ』などと批判コメントが殺到していました」(メディア誌ライター)

 昨年、東京狛江市で起きた強盗殺人事件では、リーダー格の永田陸人被告に対し、検察は無期懲役を求刑した。実行役、指示役はもちろんだが、下見役にも厳罰を科してほしいものだ。

福島シゲル

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