TDB、船井電機が破産手続き開始決定 負債総額461億円か 「FUNAIテレビ」で独占販売のヤマダデンキは声明

 帝国データバンク(TDB)は10月24日、船井電機が同日付で東京地裁から破産手続きの開始決定を受けたと発表した。

●「FUNAI」ブランドの液晶テレビをヤマダデンキで独占販売



 船井電機は、船井電機(現・船井電機・ホールディングス)から事業を承継することを目的に、2023年2月に設立されている。

 前身の船井電機は、1951年創業の船井軽機工業のトランジスタ部門を分離して、1961年8月に設立。トランジスタラジオの製造販売を皮切りに、ホームステレオなどの音響機器、テレビやビデオなどの映像機器、プリンタやインターネット情報端末などの情報通信機器へと事業の幅を広げた。

 とりわけ、OEMメーカーとして北米市場をはじめとする海外を主体に事業を展開し、アメリカの大手ディスカウントストアを主力顧客とするなどして事業を拡大していた。

 また、国内最大手の家電量販店であるヤマダデンキとは、2016年10月に「FUNAI」ブランドの液晶テレビなどの独占販売の基本合意を結び、17年6月から販売を開始した。

<過去記事>

ヤマダ電機でのテレビ独占販売、船井電機の逆張り戦略

 販売開始の発表会で、ヤマダ電機(当時)の山田昇代表取締役会長 兼 取締役会議長(当時)は「液晶テレビ全体の売上で初年度は5%、最終的には20%のシェアを目指す」とコメントしていた。

<過去記事>

【速報】ヤマダ独占販売の液晶テレビ、目標は自社売上のシェア20%

 船井電機は1999年2月に大証2部に上場、2000年3月には東証1部および大証1部にも上場。DVDレコーダーを中心とするデジタル関連機器の販売が伸長した05年3月期は売上高約3535億9200万円を計上していた。

 しかしながら、リーマン・ショック以降は北米市場での販売不振が続いた上、中国のテレビメーカーの台頭による値下げ競争に巻き込まれ、売り上げが減少。液晶パネル価格の高騰も重なって営業赤字が常態化していた。

 さらに、アメリカやメキシコの子会社における不適切会計の発覚といったガバナンス面にも問題が生じていた。

 21年5月には、秀和システムホールディングス(22年4月に吸収合併)による株式の公開買い付けが成立し、同年8月26日付で上場廃止。23年3月には別途100%出資によって設立された現・船井電機が主要事業を承継している。

 その後、親会社が脱毛サロンチェーン運営会社を買収していたものの1年足らずで撤退し、24年3月以降は船井電機も含めて役員の入れ替わりが相次ぎ、親会社では同年9月に代表者変更が生じるなど経営体制が混乱していた。

 10月に入ると、脱毛サロンチェーン運営会社のネット広告代金の未払いについて、親会社が連帯保証を行っていたことを広告会社が明らかにしたことによって、グループ全体に信用不安が拡大。立て直しの見通しが立たなくなったことから今回の破産手続きの開始決定に至ったという。

 TDBによれば、負債は現在調査中ではあるものの、24年3月期末時点で約461億5900万円とのこと。

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●ヤマダデンキはFUNAIブランド製品で声明を発表



 船井電機の破産手続きの開始決定の報道を受けてヤマダデンキは10月24日に声明を発表。船井電機の今後の動向を注視するとともに、これまで販売したFUNAIブランド製品のアフターサービスは、顧客に迷惑をかけることのないよう販売店として責任をもって対応することを発表。追加情報が分かり次第、逐次対応するという。