現地時間10月22日、ボストン・セルティックスはホームのTDガーデンでチャンピオンリングセレモニーを開催し、ニューヨーク・ニックスとのシーズン開幕戦を132-109で快勝した。
前半だけで17本の3ポイントを成功させた昨季王者は、第3クォーターにも9本を炸裂させ、最終クォーター残り8分54秒の時点で29本に到達。2020年12月29日にミルウォーキー・バックスが記録したNBAレコードに並び、記録更新が期待されたが、最後はまさかの13本連続ミスで新記録樹立はお預けとなった。
それでも、エースのジェイソン・テイタムは30分18秒のプレータイムでフィールドゴール成功率77.8%(14/18)、3ポイント成功率72.7%(8/11)と大当たり。ゲームハイの37得点、10アシストを叩き出してチームを牽引した。
続く24日のワシントン・ウィザーズ戦でも、セルティックスは最大32点差をつけて122-102で圧勝。ジェイレン・ブラウンが27得点、8リバウンド、3アシスト、4スティール、テイタムも25得点、11リバウンド、6アシストと2枚看板が躍動し、連覇に向けて好スタートを切った。
26歳のテイタムは、これまでオールスターに5度、オールNBAチームに4度選ばれたほか、2022年にイースタン・カンファレンス・ファイナルMVP、翌23年にはオールスターゲームのMVPにも輝いている。
キャリア7年目の昨季に悲願のチャンピオンシップも獲得したフォワードは、まだ手にしていないシーズンMVPへの熱い思いを口にしていた。
「子どもの頃、誰もが自分自身に対してたくさんの目標を設定したと思う。自分はすごく幸運なことに、達成したいことの多くにチェックを入れることができた。俺にとってMVPを勝ち獲ることは重要で、別にこのチームの成功を奪うわけじゃない。チャンピオンシップ候補ならどのチームにもMVPに選ばれた男がいる。MVPになったら、それはその選手がゲームを支配し、効果的で正しい方法でプレーをし、多くの勝利というインパクトを与えているということになる。チャンピオンシップは最も重要なことだけど、(MVPは)最高の自分を証明するために大事なものなんだ」
昨季まで3シーズン連続でオールNBA1stチーム入りし、開幕前に公開された「GMサーベイ」ではスモールフォワード部門でトップの得票率47%をマークしたテイタムは、紛れもなくリーグ屈指の実力者だ。
だがMVP投票ではこれまで3度6位以内に入ったものの、トップ3にすら入ったことはない。強豪のセルティックスには昨季ファイナルMVPのブラウンのほか、ドリュー・ホリデーやデリック・ホワイトなど強力なチームメイトたちがいる。そのため、テイタムに票が集まらないといった事情はあるかもしれない。
だからこそ、テイタムは今季のゴールの1つとしてMVPへの思いを口にしたのだろう。セルティックスの選手で最後にMVPに輝いたのは、1985-86シーズンのラリー・バードまで遡る。連覇を狙う王者のトップスコアラーが、有言実行できるかに注目していきたい。
文●秋山裕之(フリーライター)