現地10月25日から開幕する、ドジャース対ヤンキースの2024年ワールドシリーズ。世間では大谷翔平とアーロン・ジャッジの対決が脚光を浴びているが、若干異なる見方も存在する。たとえばMLB公式が公開した「ワールドシリーズに出場する打者ランキング」という記事では、大谷とジャッジを抑えてフアン・ソト(ヤンキース)が1位になっているのだ。
なぜ、ソトこそがワールドシリーズ最大の注目の打者なのか? これには3つの理由がある。
一つには、大谷やジャッジに比べてポストシーズンでの実績が豊富という点が挙げられるだろう。周知の通り、大谷は今年が初のポストシーズン出場。ジャッジは今年が7回目の出場になるが、通算打率.203と本来の打棒は影を潜めている。さらに、彼もまたワールドシリーズに出場するのは初めてだ。
それに対して、10月の舞台におけるソトの活躍ぶりは素晴らしい。今年も含めて3度出場し、通算38試合で10本塁打。ナショナルズ時代の2019年には、ワールドシリーズでアストロズを向こうに回して7試合で3発、OPS1.178とMVP級の活躍でチーム初の世界一に貢献した。しかも、当時まだ20歳になったばかり(ワールドシリーズの最中に誕生日を迎えた)だった。
今ポストシーズンもこれまで9試合で打率.333、3本塁打、OPS1.106と文句なしの活躍。リーグ優勝決定シリーズ第5戦では、延長10回に15年ぶりのワールドシリーズ出場を決定付ける3ランを放ち、ブロンクスの英雄となった。とにかくこの男は、大舞台のプレッシャーとは無縁。第1戦当日に26歳の誕生日を迎える今年のワールドシリーズでも、その期待の大きさは変わらない。
大舞台での大暴れっぷりぶりもさることながら、今オフにFAを控えたソトにとって、このワールドシリーズは格好のアピール機会でもある。地元紙『ニューヨーク・ポスト』の敏腕記者ジョン・ヘイマンによれば、ソトの市場価格はすでに総額6億ドルに達しているという。昨オフに大谷が樹立した10年7億ドルのプロスポーツ史上最高額契約を目指すソトとしては、ワールドシリーズでの活躍でさらに価値を上げたいところ。むしろ「オレがどれだけスゴイのか見せつけてやろう」という気分でいるかもしれない。どれほどのアピールを見せてくれるのか、今から楽しみだ。
構成●SLUGGER編集部
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