サッカーJ1町田ゼルビアが10月15日、SNS上で相次ぐ誹謗中傷に対し名誉棄損で刑事告訴したと発表した。親会社サイバーエージェントの社長でもある、藤田晋オーナーは「クラブの好調な成績と比例するように、無数の誹謗中傷を浴びており、もう限界です」とコメントした。
2年前まで高校強豪校・青森山田を28年間に渡り指導してきた黒田剛監督が徹底した勝利至上主義を導入。今季J1初昇格にも関わらず開幕から首位戦線を走り、優勝の可能性も残されている。
「誹謗中傷が増えてきたのは町田の成績に陰りが見えてきた頃からです。前半戦首位を独走していた頃はさほど目立ちませんでした」(夕刊紙記者)
発火点の一つになったのは、PKの際に町田のキッカーがボールに大量の水をかけた行為だ。ルール上は問題はないが、Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏も「PKの時ボールに水をかけるなんて明らかに非紳士的行為で見ていて不愉快に感じた」と発信。その上で「審判がボールを変えるだけでは無く直ちにイエローカードを出すべきだった。でもレフェリーがカードを出さないプレーは許容範囲であるはず」と続けた。
この“PK水掛け論”で思い出すトラブルがある。Jリーグ元年のチャンピオンシップ「ヴェルディ川崎-鹿島アントラーズ」の試合でジーコ氏(元日本代表監督)が相手PKの際に唾を吐いた。
この時の主審・高田静夫氏は「非紳士的行為」としてイエローカードを出し、ジーコ氏は累積警告になり退場処分を受けている。
「川淵さんはこの行為を見て、オレの目の黒いうちはジーコを絶対許さないと激怒していました。子どもたちが真似をしたどうするんだとも。代表監督として契約した時には“和解”していましたが」(前出・記者)
黒田監督は青森山田時代に教壇に立っていた。今回の問題にあたっては、「オーナーだけでなく、教育者でもある黒田監督もコメントすべき」(Jクラブ関係者)との意見もある。
ついに誹謗中傷事件にまで発展した町田の“PK水掛け論”が、シーズン佳境に突入してもくすぶり続けている。
(小田龍司)