ひとり化け物がいる。韓国戦のピッチでスケールの違いを見せつけた19歳のスーパーガール【なでしこジャパン】

 ピッチの中にひとり化け物がいるなと、そう思った。もちろん良い意味での“化け物”だ。

 2024年10月26日、なでしこジャパンは国立競技場で韓国女子代表と対戦。前半は嫌な時間帯もありながら、北川ひかる、藤野あおばらのゴールで4-0と快勝したが、ピッチでスケールの違いを見せつけたのが後半の頭から出場した谷川萌々子だった。

 長野風花に代わって4-4-2システムのボランチに入ると、優れたフィジカルと鮮やかな足技で相手を圧倒。3-0で迎えた56分には、右サイドバックの守屋都弥のクロスに合わせる形で追加点を決めるなど、決定的な仕事もしている。

 パスの出し手にも受け手にもなれる柔軟性を見せつつ、52分には正確なフィードで右サイドに展開。そして54分には的確な寄せでボール奪取と、ピッチの広範囲をカバーしながら56分にタイミングよく攻め上がってダイレクトシュートを決めるのだから天晴れだ。

 ポジションはボランチなのに、最高のタイミングでエリア内に進入して、「ここに出して」とアピールしてのダイレクトショット。決して簡単ではないプレーだ。むしろ、恐ろしいセンスである。パリ五輪のブラジル戦で2ゴールに絡んだ才能は本物と、それを改めて韓国戦で示したと言えるだろう。

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 ちなみに、得点の場面、どのような感覚で攻め上がったのか。本人にそう質問すると、以下のように回答してくれた。

「まず試合に入る前、クロスに入ろうと意識していました。実際、都弥さんがボールを受けた時にFWの後ろのスペースが見えていたので、そこでボールを受けようと思ってランニングしました」

 その後のダイレクトシュートも含め難易度の高いテクニックだ。そうした技術を身につけるうえで重要だったのが「スウェーデンで過ごした日々」という。

「スウェーデン(のFCローゼンゴード)で前の部分に関われるポジションをやって、意識が変わったところがあります」

 味方にジェスチャーで指示するなどリーダーとしての自覚も芽生えつつある谷川。もちろん軽率なミスもあり完璧な出来ではなく持ち上げ過ぎの感があるかもしれないが、それでも──。19歳にも関わらずこういう試合でしっかりと結果を残すあたりはスーパーガールである。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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