攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第45回は、V・ファーレン長崎でキャプテンを務める秋野央樹だ。前編では、チームと個人の調子、新スタジアムについて尋ねた。
【前編】長崎主将、30歳の誓い「新スタもできた。昇格する波が来ている」「18歳の時と気持ちは変わっていない」
現在30歳で千葉県出身の秋野は、柏レイソルでアカデミー時代を過ごし、2013年に中村航輔らと共に同クラブのトップチームに昇格。その後、湘南ベルマーレを経て、2019年の夏に長崎に加入した。
2018年以来のJ1昇格を目ざすチームでさらなる活躍が期待されたが、度重なる怪我に苦しめられ、長崎在籍4年半のうち約3年弱をリハビリに費やすなか、昨季終了後に契約満了となった。
しかし、柏アカデミー時代に師事した下平隆宏監督の就任により、年明けに異例の再契約。新たな気持ちで青とオレンジのユニホームを身にまとった今季は、足の痛みで欠場した5月のブラウブリッツ秋田戦を除き、リーグ戦全ての試合に先発している。
後編では、トライアウトも受けた後に“長崎復帰”が決まった際の心境から話を訊いた。
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本当に感謝の気持ちしかないですね。自分自身、怪我でほぼ2年間、チームに対してプレーで何も残すことができなかったので。
去年、出場機会はそこまでなかったですけど、出た試合でなかなか活躍できず、チームに対して申し訳ない気持ちをすごく持っていました。満了になるだろうなっていうのも、シーズン途中から薄々感じていました。
自分の中で「長崎でのミッションを達成できなかったな」って。志半ばで満了になってしまったので、「申し訳ない」「残念」という気持ちがすごく多かったんですけど、色んなものが巡りに巡って、また長崎のエンブレムをつけてサッカーができることにすごい縁を感じます。
このクラブをJ1に昇格させるのが自分に課せられたミッションです。それを達成するチャンスが今、目の前にあるので、感謝の気持ちを忘れずに日々過ごしたいです。
キャプテンとしてというか、やっぱり長崎でまたこうやってプレーしているのは自分にとって当たり前じゃないですし、このクラブに何かを残すってなったらJ1昇格しかありません。それが「ありがとう」って言葉にもなりますし、それをまずは成し遂げたいと心の底から思っています。
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長崎で再会した下平監督は、柏ユースに在籍していた高校1年から3年の時に人生の根幹をなす教えを受けた、紛れもない恩師だ。
そんな指揮官は以前、SNSで「やっぱり筋肉は裏切らない」と綴り、ボディビルダー顔負けのマッスルボディを公開。さらに詳細は明らかになっていないが、今年7月のファン感謝DAYでアキレス腱を断裂するなど、世間一般ではワイルドなイメージが強い。
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愛弟子・秋野にとって、一体どんな存在なのか。
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シモさんは間違いなく、自分にすごく影響を与えてくれた指導者の1人です。サッカー選手の前に1人の男というか、1人の人間として大事なことを本当にたくさん教えてもらいました。そういう人のもとでまたプレーできるのは、何か縁を感じます。
高3の時にクラブユースで優勝した際も僕がキャプテンで、シモさんが監督の関係性だったんですけど、この人と一緒にやったら何か大きいものを得られるんじゃないかな、成し遂げられるんじゃないかなと、そういう監督ですね。
人を惹きつける力だったり、勝てる監督だったり、“持ってる”とか、そういうものをすごく感じます。
キャラクター的にはすごい人間味が溢れる監督です。筋トレとかは多分、見た目よりかは、自分を律するためにやっている部分が強いと思います。怪我はアクシデント的なものですけど(笑)。思ったこと素直に言ってくれることもありますし、一緒にいて気持ちが良いです。
最後に掘り下げた話題は、バイタルエリアだ。「vital」とは日本語で「生命」を意味する通り、生きるか死ぬか――勝負を決するうえで、非常に重要な局面である。
MFとして縦横無尽にピッチを走り回り、攻撃と守備両面において同エリアでプレーする秋野に重要なポイントを語ってもらった。
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攻撃では、まず一番は相手にとって怖い選択をしたいと思っています。そこでもしボールを奪われたとしても、そのまま失点に繋がる可能性はセロではないですけど、確率で言えば低いのかなと。だったら50-50だったり、4割通るか通らないかぐらいのチャレンジをして、相手に怖いと思われるような選択をしたいと思っています。
守備だったら、やっぱりそこで相手を自由にさせてしまうと失点のリスクが高まるので、まずはそこに入れさせたくない。もしそこに入ってしまったら、ファウルもなるべくしたくはないですけど、自由にプレーさせてはいけないエリアかなと思います。
※このシリーズ了
取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)
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