両親が歌手。異色の経歴を持つ韓国育ちのストライカー谷大地の半端ないスケール感。カタールとの首位決戦でもゴール量産に期待【U-16代表】

 ゴール前でどっしりと構え、「俺にボールを持ってこい!」と言わんばかりの雰囲気は、実にストライカーらしい。

 どんな状況でもゴールを狙い、豊富なバリエーションでネットを揺らす。鳥栖U-18のFW谷大地(1年)が、U-16日本代表で圧倒的な存在感を示している。

 U-17ワールドカップの1次予選を兼ねたU-17アジアカップ予選。廣山望監督が率いるU-16代表は2連勝を飾り、27日に行なわれるホスト国カタールとの最終戦を迎える。

 カタールも2連勝しており、日本が得失点差で上回っているため、引き分け以上で日本の首位突破が決まるが、油断はできない。少しでも気を抜けば、痛い目を見たとしても不思議ではない。

 重要な首位決戦。注目したいのが、今予選でここまでチームトップタイの5得点をマークしている谷だ。

 23日のネパール戦(9-2)では4ゴールを奪取。今回が初代表ながら先発に抜擢され、期待に応えてみせた。1点ビハインドの17分に右からのクロスに合わせて同点弾を決めると、38分には中央でリターンパスを受けてから確実に仕留める。43分には技ありのヒールショットを沈め、64分にも無理な体勢から再びヒールで決めてみせた。

 続く25日のモンゴル戦(7-0)は81分から途中出場し、84分に見せ場を作る。右サイドを抜け出すと、相手のマークをなぎ倒して突き進む。最後は豪快に右足を振ってゴールを射抜いた。
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 日の丸を背負い、目に見える結果を残す点取り屋の父は韓国人で、母国では名の知れた歌手。日本人の母も歌手で谷まりこ(旧芸名・三佳千夏)という芸能一家で育った谷は、中学2年まではFCソウルの育成組織に所属。「日本に行きたかった。移籍するなら一番強いチームが良いなと思っていたんです。福井太智君の代が優勝していたので、鳥栖に決めました」。より高いレベルを求め、中3でJクラブのアカデミーに新天地を求めた。

 高校1年生となった今季はU-18高円宮杯プレミアリーグWESTで出場機会をあまり得られていなかったが、9月下旬の国民スポーツ大会少年の部(U-16年代の都道府県選抜が日本一を争う大会)で活躍。佐賀県代表を準優勝に導き、代表入りを勝ち取った。

 そんな谷に対し、廣山監督も大きな期待を寄せている。

「(レベルの差があるので)国民スポーツ大会のパフォーマンスはかなり評価がしにくいけど、評価しうるプレーだった。あとはU-16代表にいないタイプなのも大きい。課題はある選手だけど、他の選手にないものがあって面白いし、伸びてほしいですね」

「負けず嫌い」というメンタリティもFW向き。また、小学校6年生からパーソナルジムで筋力や体力の強化に励んでおり、184センチ・72キロというサイズ以上に身体の厚みを感じさせ、海外勢にも見劣りしない。

 規格外のスケールは今後の飛躍を予感させる。バルセロナのロベルト・レバンドフスキに憧れる男はさらなる高みを目ざし、カタール戦も自らのゴールでチームを勝利に導く。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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