小椋藍、日本人ライダー15年ぶりのチャンピオン獲得! 2レース残して王者に。優勝はカネット|Moto2タイGP

 MotoGP第18戦タイGPのMoto2クラス決勝が行なわれ、小椋藍(MT Helmets – MSI)が2位フィニッシュ。2024年のMoto2王者に輝いた。優勝はアロン・カネット(Fantic Racing)だった。

 今回、5位以上に入れば日本人ライダーとして世界選手権で15年ぶりのタイトル獲得を決めるという状況でタイに乗り込んできた小椋。決勝レースをポールポジションからスタートし、2位でフィニッシュ。2レースを残して王者に輝いた。

 舞台となるチャーン・インターナショナル・サーキットは、土曜日まで晴れていたものの、日曜日は朝方にかけて雨が降った。直前に行なわれたMoto3クラスのレースでは走行ラインはスリックタイヤで走れるほど乾いていたが、サーキット上空は雲が覆っており、一時降雨を知らせるレッドククロスフラッグも振られるなど不安定なコンディションだった。

 ポールシッターは、ポイントリーダーの小椋。2番手には小椋と65ポイント差でランキング2番手のカネットがつけた。3番手はディオゴ・モレイラ(Italtrans Racing Team)だ。

 小椋から66ポイント差で並んでいるフェルミン・アルデゲル(Beta Tools SpeedUp)は8番手、セルジオ・ガルシア(MT Helmets – MSI)は9番手からのスタートとなった。佐々木歩夢(Yamaha VR46 Master Camp Team)は自己ベスト12番グリッドからさらに前を目指した。

 小椋はライバルの結果に関わらず、5位以上に入ればチャンピオン獲得。6位以下でも、リードが50ポイント以下にならなければチャンピオン獲得という条件だった。

 22周のレースがスタートすると、小椋がホールショットを奪うも、続くストレートでカネットが前に。小椋はすぐに抜き返すも、カネットに再び抜き返され、最終コーナーでは他のマシンにインに飛び込まれ、一気に7番手まで後退してしまった。

 一方、アルデゲルがブレーキングで止まりきれず他車と接触し転倒リタイア。タイトルコンテンダーのひとりが早々に脱落した。

 小椋は他車と比べてペースが厳しいかと思われたが、序盤数周を終えると持ち直し、自力でタイトル獲得を決めるべく前を追った。7周目にはレースベストラップを更新すると、ダリン・ビンダー(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)にターン1で仕掛けるが接触。ビンダーを押し出すような形のオーバーテイクとなり、審議対象となった。

 ただ小椋の勢いは止まらず、8周目にジェイク・ディクソン(CFMOTO Inde Aspar Team)も交わし4番手浮上。さらに3番手のモレイラも10周目に攻略し、表彰台圏内までカムバックした。

 逆転タイトルに向けてわずかな可能性を残すべく、首位を走るカネットは2番手のマルコス・ラミレス(OnlyFans American Racing Team)に0.5秒前後の差をつけて周回を重ねた。

 モレイラを抜いた小椋は、1.5秒弱あったラミレスまでのギャップをファステストペースでみるみる縮めていく。14周目になると、ラミレスの背後につけロックオンした小椋は、ターン3で膨らんだラミレスのインをつき、2番手を奪った。

 首位カネットと小椋のギャップは1秒ほど。ここでカネットはペースアップし、残り6周ではレッドクロスフラッグが振られる中でもペースを緩めず走り続けた。

 小椋はそれには付き合わず、カネットとのギャップが一気に2秒ほどまで拡大。その後のラップも、小椋はリスクを負わない走りにスイッチした様子で、栄冠に向けてレースを進めた。

 そして残り2周となったタイミングで、雨がにわかに強まったことで赤旗掲示。20周終了時点の結果でレースが終了することになった。

 これで、2位フィニッシュとなった小椋がMoto2クラス王者に。フィニッシュ後は多くのライダーから祝福を受けた小椋は、コースサイドに用意された将棋盤で王手を指すパフォーマンス。2009年に青山博一が250ccクラスを制して以来、15年ぶりとなった日本人ライダーの世界選手権での戴冠を祝った。

 また、このレースでMT Helmets – MSIもチームチャンピオンを獲得している。

 優勝したカネットはベストを尽くしたが、残り2レースに望みをつなぐことはできなかった。3位はラミレスで、今季初表彰台を確保している。

 4位には、13番グリッドから追い上げた地元タイのヒーロー、ソムキアット・チャントラ(IDEMITSU Honda Team Asia)が入った。

 佐々木は一時8~9番手を走るシーンもあったが、最終的に13位でのフィニッシュとなった。