「タケはスイッチを入れる時だ」“温存効果”がなく精彩を欠いた久保建英にソシエダ番記者が苦言「不慣れな左サイドでプレーしたのも無関係ではないだろう。だが…」【現地発】

 レアル・ソシエダにとってヨーロッパリーグ(EL)リーグフェーズ第3節のマッカビ・テルアビブ戦はサッカーの枠を超えた一戦となった。

 イスラエス・ガザ紛争の影響により中立地のセルビアの首都、ベオグラードで開催。観客がまばらなスタジアムは、数年前の忘れたい嫌な記憶を呼び起こさせた。

 サッカー選手の存在意義は多くの観客の前でプレーすることにある。スタンドとファンの熱量がなければ、誰も好き好んで試合をすることはない。試合会場のスタディオン・パルチザーナは、ソシエダにとって1990-91シーズンにパルチザンにPK戦の末に敗れてUEFAカップ2回戦敗退となった地だ。

 ファンの熱気に包まれたスタジアムはまるで圧力鍋のようであり、本来であればアウェーチームは敵対的な環境でのプレーを余儀なくされるが、それでも殺風景な空間で試合をするよりもいいに決まっている。

 おまけにキックオフ数時間前にはイスラエル軍による攻撃で多数の民間人が犠牲になっているガザの惨状に対し、ソシエダは何らかの声明を出さなければならないのではないか、という憶測まで飛び交った。もっとも彼らはあくまでサッカー選手であり、ユニホームを身に纏ってプロの矜持を示すことが使命であるはずだ。
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そのためには勝利を収めることが一番だったが、ソシエダはホン・パチェコとセルヒオ・ゴメスのゴールで2点のリードを奪い、反撃を1点に抑えて逃げ切った。

 試合は立ち上がりからソシエダのペースで進んだ。しかし前述した異様な雰囲気が選手たちにも感化。いつもに比べれば、スピードにも激しさにも欠ける親善マッチのような緩さで展開され、そんななか、とりわけやりにくそうにプレーしていたのがタケ・クボ(久保建英)だった

 何ら不思議なことはない。タケのような選手はスタジアムの雰囲気に左右されやすい。味方のファンを熱狂させることに意気に感じ、敵ファンからの野次を発奮材料にする。

 だからほぼ空っぽのスタンドの静寂が、彼のプレーを鈍らせたのは理解できる。立ち上がりからずっとその調子で、イマノル・アルグアシル監督が5日前のジローナ戦で後半途中まで温存した効果も見られなかった。
 
 不慣れな左サイドでプレーしたことも無関係ではないだろうが、ボールロストも少なくなく、3分にハビ・ロペスが走り込む動きに合わせてスルーパスを送った後(ロペスのクロスは相手GKがキャッチ)、目立ったのは12分に相手のカウンターをファウルで止めてイエローカードを受けたプレーくらい。

 43分になかなかチャンスに絡めないことに痺れを切らしたかのように、左サイドから縦に仕掛けて左足を振り抜いたが、相手GKの好守に阻まれた。

 エンドが変わった後半も流れが変わらない中、70分に左サイドからカットインし、果敢に右足でシュートを放つというこの日一番のプレーを見せたが、惜しくも左ポストをかすめて外れた。結局、ソシエダが2点リードしたまま75分にお役御免の形でベンチに下がった。
 
 ソシエダは試合を重ねるにつれてパフォーマンスを向上させている。ポジション争いも激しさを増しており、タケも過去2シーズンのように毎試合スタメンでプレーするという状況ではなくなっている。

 そんななか、取り巻く環境が良くなかったとはいえ、直近の試合で休養を与えられたのであれば、もっと決定的なプレーをすることを学ばなければならない。周囲のレベルは上がっている。タケは今こそスイッチを入れる時だ。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

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