世界中で人気を博す、吾峠呼世晴さん原作のマンガ「鬼滅の刃」。先日App Storeにて発見した「Demon Fighter Quest」というゲームがどう見ても「鬼滅の刃」でした。
登場するキャラクターから漂う「鬼滅の刃」の主人公・炭治郎っぽさ。これは危険な香りがプンプン漂ってくる……。どんな内容なのか、実際にプレイしてみました。
■ ゲームのデベロッパー同士で意外なつながりが?過去に紹介した珍ゲームと関係も
「Demon Fighter Quest」というタイトルは英語表記のままだとあまり「鬼滅の刃」感を覚えない方も多いかもしれません。
これはおそらく「鬼滅の刃」の英語版タイトルである「Demon Slayer」からきています。「Slayer」の部分を「Fighter」に変えているというわけです。
本ゲームのデベロッパーは「Mohamed Amaou」。Googleで検索をかけてみたところ、Linkedinのページが見つかりました。どうやらモロッコを拠点にする個人開発者のようです。
気になったのはAmaou氏のプロフィールページの概要欄にある「I have had the opportunity to work on the hit game “Web Master 3D” with OUAZ GAMES.」という箇所。日本語に訳すと「私はOUAZ GAMESのヒット作“Web Master 3D”に携わる機会がありました」ですが、注目したいのは「OUAZ GAMES」というワード。
「OUAZ GAMES」は以前、おたくま経済新聞で公開した記事「どう見ても『チェンソーマン』な低評価ゲームをプレイしてみたら……理不尽&手抜きなシステムで超イライラ!」にも登場しました。
記事内で紹介した「チェンソーマン」に酷似したゲーム「Chainsaw Man : Mortal .Fighter」を手がけたスタジオが「OUAZ GAMES」だったのです。
あらためて「OUAZ GAMES」のLinkedinのページを見返してみれば、所在地はモロッコのカサブランカ。同じモロッコを拠点にするAmaou氏とつながりがあるのも納得です。
Amaou氏のLinkedinページによると「OUAZ GAMES」に関わっていたのは2020年3月から2021年9月まで。その後は「Deevlap」というゲームスタジオを経て、フリーランスの開発者になったようです。
「Deevlap」も本拠地はモロッコのアガディール。公式HPはドメインエラーによりアクセスができず、詳細は追えませんでした。Googleの情報によると、どうやらすでに閉業してしまっているようです。
■ 著作権侵害?ゲームのプレイヤーキャラクターは完全に炭治郎
開発者の情報がある程度わかったところで、実際に「Demon Fighter Quest」をダウンロードします。
ゲームのメイン画面は非常にシンプル。ゲームのステージレベルらしき「Level1」の表記とタイトル、「PLAY」の文字と、ぽつんとたたずむプレイヤーキャラクター。
黒と緑の市松模様が描かれた羽織と、黒の隊服。赤みの混じった黒髪をデコ出しにしたスタイル。もう完全に炭治郎です。
あと目の描き方が「点」になっています。これは本編でも時々登場する表現。ほのぼのエピソードのときに現れる目の描かれ方に似ています。
「PLAY」をタップするとシームレスにプレイ画面に遷移。
画面右下の5つのボタンで攻撃、左下に隠れたコントローラエリアをスワイプすると移動ができます。そして左上にはキャラのアイコンと、体力ゲージが……。
思いっきり「Tanjiro」って書いてあります。しかもアイコンに使われている絵……、これ公式画像では?検索したところ、反転した同じイラストがでてきました。どうやらゲームで利用するにあたり、反転して使用したようです。
自作のイラストならまだ「鬼滅っぽい」で済みますが、公式素材を使っているのであれば間違いなく「パクり」です。というかもっと直接的に言うと「著作権侵害」ではないでしょうか。
ゲームのシステムはいたってシンプルです。Tanjiroを操作して敵を倒しつつ、フィールド上にいるすべての女性キャラクターを救出して安全な場所まで送り届けることでステージクリア。次のステージに進むことができます。
Tanjiroは通常攻撃のほかに炎の呼吸的な攻撃、水の呼吸的な攻撃、前蹴り、そして手裏剣が使えます。
炭治郎が手裏剣を投げるところは見たことがありませんが、Tanjiroは手裏剣を投げるようです。
ステージクリアのために救出しなければならない女性キャラクターは2パターン。緑の服を着たキャラクターと、制服を着たキャラクターです。
緑の服を着た方は元ネタがわからないですが、制服を着た方は分かります。
どう見ても炭治郎の妹・禰豆子ですね。
髪型もそうですが、口に何かをくわえているのも禰豆子そっくりです。竹ではないように見えますが、何をくわえているのでしょう。エクレアですかね?
ゲームはひたすら敵を倒して、キャラを救出してというのを繰り返していくだけ。途中で敵のバリエーションが増えますが、行動パターンは全敵キャラで共通です。ステージも変わりません。
「Demon Fighter Quest」が、これまで紹介してきた珍ゲームたちと大きく異なるのは、広告視聴がないこと。ステージごとに広告視聴、ゲーム中にも広告視聴、といったことが一切なく、そういう意味ではストレスフリーなゲームでした。
敵の攻撃を受けて、左上の体力ゲージが0になるとゲームオーバーなのですが、広告視聴をすると“おそらく”ゲームオーバーになった地点からやりなおせます。
“おそらく”と強調したのは、復活のためのボタンが機能していないからです。何度「Revive」ボタンをタップしても、広告視聴をさせてくれません。
復活ができないので、負けたら強制的にステージの最初からやり直しです。クリア目前でも容赦ありません。広告視聴をしないことが逆にストレスになるとは、思ってもみませんでした。
■ それにしてもなぜモロッコ?
「Demon Fighter Quest」の開発者と、以前別記事で紹介した「Chainsaw Man : Mortal .Fighter」の開発者が思わぬつながりを見せました。
ここで気になるのが、両者が拠点にしているモロッコです。
日本のアニメやマンガの海外での人気ぶりがメディアなどで語られる際、よく登場するのはアジア、北米、欧州の国々ではないでしょうか。
ですので、モロッコの複数のスタジオや開発者が、日本のコンテンツに関連するタイトルを作っているのは、その是非はさておき、興味が湧きます。
Googleで「モロッコ アニメ」と検索をかけてみると、関連するページが何件かヒットしましたが……他国より日本のアニメファンが特別多いというわけではなさそうです。
とはいえ、次にモロッコの話題を取り上げるときは、ポジティブな内容の記事で紹介できるよう、注目していこうと思います。
※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となります。
<参考・出典>
「Demon Fighter Quest」のApp Storeページ
Mohamed Amaou氏のLinkedinページ
OUAZ GAMESのLinkedinページ
DeevlapのLinkedinページ
※本文掲載の画像は特に記載が無い限り、「Demon Fighter Quest」のゲーム内および関連ページのスクリーンショットです。
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024102803.html