ウクライナや中東では戦争が続き、台湾では軍事的緊張が高まる中、ロシアと北朝鮮が結束を強化。北朝鮮兵士の若者たちがロシアで訓練を受け、ウクライナでの戦争に参加させる動きが見られる。
ウクライナとの国境にあるロシア・クルスク州では10月上旬、北朝鮮軍の幹部らが先遣隊として到着し、北朝鮮兵士の受け入れ準備を開始した。最近ではロシア東部の演習場で訓練を終えた北朝鮮兵士2000人あまりがウクライナ国境に向けて列車などで移動していることが明らかになり、今後、ロシア軍とともにウクライナ軍と武器を交えることになる。
一方、ロシアから侵攻を受けるウクライナでは、当初は国家を守りたいという意欲を持つ若者たちが志願兵となって戦場に送られたが、その数は時間の経過とともに勢いを失った。今日では今年春に施行された新法に基づき一般男性は必要に応じて動員され、特別な許可がない限り政府が動員を解除するまでウクライナから出国することが認められず、いつでも戦場に駆り出される状況となっている。ロシアも同様で、プーチン大統領は兵士不足が深刻化すれば必要に応じて動員命令を繰り返し発動し、我慢できないロシア人が海外に逃亡している。
また、中国から威嚇を受け続ける台湾は、今年になり18歳以上の男性に義務付けられる軍事訓練の期間を、4カ月から1年に延長した。台湾では2014年に徴兵制が廃止され、今日は志願制となっているが、兵役を志願しない男性も4カ月の軍事訓練を受けることは義務づけされ、それが延長されることになった。この事態について、台湾有事への懸念を強める市民の多くは、肯定的に受け止めている。
ロシアによるウクライナ侵攻で、欧州では徴兵制を再導入するべきだとの議論も広がっており、今後世界の安全保障情勢がいっそう悪化すれば、徴兵制を敷く国の数が増える可能性もある。これは日本も例外ではない。日本を取り巻く安全保障は厳しさを増しており、仮に台湾有事が発生すれば、台湾に近い石垣島や与那国島などの沖縄離島は必然的に戦争に必然的に巻き込まれる。現時点で日本の政権が徴兵制の再導入を検討することは考えられないが、今後も米国の非介入主義の徹底は避けられず、やがては日本でも徴兵を義務化せざるを得ない状況がやってくるだろう。
(北島豊)