「容赦なくアンチェロッティの夢に終止符」なぜバルサはクラシコで圧勝できたのか。番記者が喝采を送るフロックの手腕「マドリーは裸の王様だ」【現地発】

 バルセロナがバイエルンに続いてレアル・マドリーを4発撃破した。ヴィニシウス・ジュニオール、キリアン・エムバペといった快足アタッカーを繰り返しオフサイドトラップの餌食にしたDFラインの連携、集中力はいずれも素晴らしく、フェルラン・メンディのポジショニングミスからDFラインを破られて先制を許したマドリーの守備陣とは対照的だった。

 ハンジ・フリック監督は、練習を重ねながら、まとまりがある組織的な集団を作り上げ、戦い方の幅も広がっている。トニ・クロースの退団によって“孤児”となったFW陣の即興プレー頼みで、その個の力を活性化させるための解決の糸口を見つけられずに混乱しているマドリーとはこれまた対照的だ。

 バルサの高い決定力と容赦のないプレーは、カルロ・アンチェロッティ監督の甘い夢に終止符を打った。実際のところ、昨シーズンのスペイン&欧州チャンピオンは開幕以来、裸の王様状態だった。その現実を直視しようとしないままクラシコを迎え、手痛いしっぺ返しを食らった。

 クリエイティブなMFが躍動するバルサはシンクロしていたパスの受け手と出し手の対話が、筋肉質なマドリーには存在しなかった。ヴィニシウス、エムバペ、ラミン・ヤマルのためにデザインされた試合で、ロベルト・レバンドフスキが主役を演じた所以でもある。

 不安視されていたGKのイニャキ・ペーニャが好守を見せ、故障明けのフレンキー・デ・ヨングはすんなりフィットした。バルサはそれぞれの個性が調和しながら、美しいハーモニーを奏で、選手交代を含めたフリック監督の采配が大勝を後押しした。
【動画】レバンドフスキの鮮やかな先制弾&ヤマルのゴラッソ
 バルサが今回の白星で得たのは、信用であり、自尊心であり、リスペクトだ。フリック・バルサはファンを感動させるだけではなく、敵チームからも称賛を受けている。これまでのように“バルサスタイル”という旗を掲げて、他を否定したり、指南したり、価値観を押し付けることはない。ラ・マシアへの愛着やアイデンティティを失うことなく、ハイリズムでプレーする現代サッカーにもコミットしている。

 ラミン、パウ・クバルシ、マルク・カサドといった若手の才気溢れるプレーが示すように、ボールへの信仰を裏切ったわけでも、創造性を失ったわけでもない。しかし同時に、最近、本拠地「モンジュイック」でも数を増やしている若年層をも夢中にさせる、すべての試合を冒険に変えるコンペティティブさにも満ちている。

 バルサ一色に染まったクラシコの後半、3点目を決めた後、笑顔の口元から見えるラミンの青とえんじのブラケットは 、背後に広がるスペースをしっかりケアしながら、ひとたびゴール前にボールを運んだら、おいそれとは止まらないチームの成功を物語っていた。

 この1週間は、バルサにとって忘れられないものとなるだろう。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

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