レジェンド澤登正朗が選ぶエスパ歴代ベストイレブン!「トップ下は...自分を置きたいけど、やっぱり小野!」「オリバは最高のパートナー」

 清水エスパルスの歴代ベストイレブンを選ぶなら誰か? サッカーダイジェスト本誌の企画でレジェンドが答えてくれた。本稿では“ミスターエスパルス”澤登正朗氏が選出した栄えある11人をお届けする。

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 選考がとても難しいですね。現役時代に一緒にプレーしていた選手の特長なら分かるんですけどね(笑)。

 じゃあ、まずはGKから選びましょう。チームメイトだったという点では真田雅則ですが、ここは権田修一にします。2022年のカタール・ワールドカップをはじめ、日本代表通算38試合の出場経験がありますし、今季もチームの守護神として存在感を放っている。歴代ナンバーワンGKと言っても過言ではないでしょう。

 続いてディフェンスラインですが、パフォーマンス重視で森岡隆三、齊藤俊秀は外せないです。森岡は安定感があって、とにかく守備能力が高かった。読みも鋭くて、クレバーなCBでした。

 齊藤は相手FWに仕事をさせないためのタスクをしっかりこなせる選手。とても真面目な性格で、どんなことに対しても手を抜かなかったですね。たとえ先輩であろうと、きっちりと自分の意見を言うし、その一方で周りの意見にもちゃんと耳を傾ける。リーダーシップにも長けていました。

 3バックの左には、山原怜音をチョイス。彼は本来は左SBなので、ちょっと変則的ですが、現チームの中でポテンシャルの高さが随一なので。右利きですけど左足でも蹴れて、斜めにズバッと入れたり、相手のライン間に上手く落とすようなパスが特長のひとつ。それに90分間上下動ができる運動量に加え、身体も強いので、長友佑都(FC東京)を彷彿させますよね。
 
 中盤のワイドは右に市川大祐、左にアレックス(三都主アレサンドロ)で決まりです!! 90年代後半から3-5-2を採用していたチームにおいて、両ワイドのスピードと運動量は相手にとって脅威だったはず。

 それに市川はクロスを猛練習して精度を磨いていたのが印象的でした。もともと持っている能力があるなかで、コツコツとやり続けていた彼のひたむきな姿は、チームメイトはもちろん、当時のユースの選手たちの目標にもなっていたんじゃないかな。

 ボランチはカルロス・サントスと伊東輝悦で。前者はサッカー技術の高さはもちろん、人間性にも優れており、鏡のような存在でした。伊東は無口で背中で引っ張るタイプでしたけど、シンプルにミスが少なかった。

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 トップ下は…本来なら自分を置きたいんですけど、やっぱり小野!! 10年の加入なので、僕は彼とは一緒にプレーをしていないですが、ボールタッチの柔らかさやアイデアが抜群でしたね。

 前線で外せないのはオリバ。フィジカル、シュート、ポストプレーとあらゆる技術に長けているストライカーで、僕の現役生活の中では最高のパートナーのひとりです。

 岡崎慎司は僕が現役を引退した05年にチームに入ってきたので、1年しか一緒にやっていないんですが、プロ1年目からゴール前の嗅覚に優れている印象はありました。自分のパフォーマンス向上のために、ボールキープや身体の使い方などを日々改善していて、そうしたエスパルスでの努力と、海外に出てからの努力があったからこそ、日本を代表するFWになったと思う。

 エスパルスはオリバが在籍していた当時、攻撃力が自慢のチームだったから、岡崎との組み合わせだったら、もっと得点を奪えたかもしれないですね(笑)。
 
 この11人を司るのは、やっぱりアルディレスしかいないかな。コーチに(スティーブ・)ペリマンもセットで。そのペリマンが守備を構築して、アルディレスが全体をまとめるというやり方がハマっただけに、彼らがチームを指揮した1996年からの数シーズンが黄金時代と言われる要因は、そこにあるのかもしれないですね。

 僕は22年からユースの監督を務めさせてもらっていて、現在は所属する選手をトップチームへ送り出せるように成長を促すことと、チームのプレミア(リーグ)復帰をミッションに取り組んでいるところです。

 そのなかで、6月にクラブとプロ契約をした西原(源樹)をはじめ、小竹(知恩)、矢田(龍之介)など、有望な若手が育ってきています。彼らは2種登録選手なのでトップチームに帯同する時もありますし、トップチームの練習にユースの選手を参加させてもらったりもしているので、つながりが非常に良好で、選手たちのモチベーションも高い。

 理想を言えば、アカデミー出身の11人でトップチームを構成して戦えるのがベストだと思いますが、それはとても難しいので、半分を占めるようなクラブを目ざしたいなと思いますね。

※サッカーダイジェスト2024/11月号から転載・加筆。

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