11月1日は「ワンワンワン」で「犬の日」。その日を記念するにあたって、日本経済の成長を占う意味でも注目したいのが、拡大するペット市場だ。

「犬は狂犬病対策から登録義務がありますが、登録数を見ると実は2009年度の699万頭をピークに600万頭辺りにまで減っています。猫は登録が不要なのでその実態は不明ながら、こちらも21年の895万頭で頭打ちと言われます。ところがコロナ禍でペットを買う人が増えたとされたのは、『新たに』飼う人が増えたからだとされている。そのため全体の頭数は減っているわけですが、同時に『ペットの家族化』も進行していて、ペット市場は拡大中。24年は1.8兆円規模に上るという数字があります」(経済ジャーナリスト)

 一方、日本のインバウンドは23年に5.3兆円、24年は7兆円超を期待されている。そこに加えて、「ペットの家族化」で更なる観光市場として期待されているのが、ペット連れで旅行をしたいという需要で、「ペットツーリズム」と言われるものだ。

 受け入れ先も増えている。世界遺産の富岡製糸場では、3月からペット同伴が可能になった(犬猫体重20キロ以内、屋外のみ)。また厳島神社は抱っこやバッグインであれば社殿内の見学も可能で、白川郷では犬の散歩がOKで、抱っこで内部を見学できる家もある。

「旅行関係各社では、このニーズを逃すまいと、様々な工夫を凝らしています。旅行各社はペット同伴ツアーを開発。JR東日本では『わん!ケーション』というペット専用新幹線の実証実験を行ったり、グランピングやコテージではペット受け入れOKのところが増えています。またペット専用タクシーでは、1年で利用者が10倍になっているといった状況もあるようです」(同)

 とはいえ、やはり相手は動物。旅行先でのケンカがあったり、買主のマナー違反もあれば、受け入れ先が増える一方、やはり宿泊できる先が少ない、移動時のトイレの問題、旅行先での行動制限といった従来の課題は山積み。また拡大するペット市場では、8月にドルチェ&ガッバーナが犬用フレグランスを発売した時には「不要論」が飛び交い物議を醸したこともある。だが、それだけペット市場は伸びしろもあるわけで、日本が観光立国を目指す上では是非とも取り組むべき分野となるだろう。

猫間滋

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