中田翔が語る35歳の現在地「この歳でまだヤンチャやったらただのアホ」初めて明かすエアガン乱射騒動の後悔と第二の人生

35歳。多くの社会人にとって「若手」とは言い難く、かといって「ベテラン」とも言えない。仕事でもプライベートでもさまざまな問題を抱えやすいこの年齢。ではアスリートの世界ではどうだろうか。本特集はそんな30代半ばにスポットを当てた。現在35歳で現役プロ野球選手、中日ドラゴンズの中田翔に話を聞いた。世間から「ジャイアン」と思われている彼の胸の内は……。 (前後編の前編)

アスリートの世界では35歳よりも若くして引退する選手が多くいる。下からどんどん突き上げてくる若手選手の脅威や自身の体力の低下など、ひとつのターニングポイントとなる年齢だからかもしれない。

そんななか、35歳にして今も現役プロ野球選手の中日ドラゴンズ・中田翔の現在地について話を聞いた。金髪丸刈りヘアや184cmの筋肉質な体型。「大将」や「ジャイアン」と呼ばれる男は今何を思っているのか。

「昔は牛丼特盛5~6杯、今は並で十分」

今年に入ってYouTubeを始めた中田選手。動画の中では合宿 で200万円ほど食費がかかると話している。35歳になった今も10~20代の頃と比べて食欲などは落ちていないのだろうか。

「食欲はかなり落ちましたね。若いときはすごい量を食べられたんすけど、今はたくさん食べる若い子たちと食事行ったら、見てるだけでお腹いっぱいになるもんね(笑)

そういうときに“俺って歳とったんだなぁ、食えなくなったんだなぁ”って感じる。

たぶんね、俺の食事量見たらびっくりすると思うよ。後輩たちにも“え?そんだけっすか”とか言われる。昔だったら牛丼特盛5~6杯食べてたけど、今は並で十分。量を食べれなくなった分、栄養成分を考えながら身体に気を遣った食事をするようになりました」

激減した食事の量と比例して、体力面でも衰えを感じることもあるという。

「35歳になってから一番感じたことはやっぱり体力の部分ですね。体力が落ちたなと感じるし、怪我をしても治りづらいなって。そこを一番感じてるかな。歳取るとね、やっぱりいろんな“欲”がすべて落ちる(笑)」

そんなフィジカル面での衰えは現役生活を続ける上で死活問題だろう。今もなお現役で若手選手と肩を並べてバッターボックスに立つが、プロ野球界でもベテランの域にある彼に“引退”の2文字は当然頭の中にあるはずだ。そんな中田は引退後の「第二の人生」をどう考えているだろうか。

今では若手選手を指導する場面も多く見られるが、指導者の道も視野に入れているのか。

「いや、指導者は全く考えてないすね、今は。

ただ、野球を辞めて“はい、そこで終わり!”ってわけでもないだろうし、家族を養っていかなかきゃいけないことに変わりはない。

もちろん第二の人生という部分で35歳にさしかかるこの2、3年ですごく考えるようになった。

でもその中に指導者っていう選択肢は今のところないです。自分はなにができるのか、自分がなにをやりたいのかっていうのを最近は本当に考えるようになった」

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何かとハラスメントが問われる時代に「“優しく話す”ようにはしてます(笑)」

そんな中田は平成元年生まれ。昭和生まれの指導者や先輩に野球を教えられ、平成生まれの仲間たちとともに練習し、今はZ世代の若手と同じグラウンドに立っている。中田自身は世代ごとの価値観の違いに戸惑うことはあったのだろうか。

「すごくジェネレーションギャップを感じる場面は多々ありますね。基本的に若い選手と世間話してても話が合わない…。俺が知らないことももちろん多いんですけどね。

それにパワハラとかのハラスメントの種類もすごいあるじゃないですか。僕が若い頃とは全然違うことも多くて。たとえば、“練習中に水を飲むな”とかそういうの当たり前にあったじゃないですか。でも、今はそれは違うと思うし。

一方で、指導する側はやりづらいこともたくさんあると思う。自分の経験ではなく時代に合わせた指導をしていかなければいけない。

だから、若い頃に比べて“優しく話す”ようにはしてます(笑)。なるべく若い世代の子達に話を合わせようと努力はしてますよ」

時代の流れをうまく掴まなければ、とり残されてしまうようなスピードで変化している令和の昨今。それを重々理解した上で、彼にこんなことを聞いた。

今の若手選手に「ここだけは負けねぇぞ」と思えることは?

「難しいけれど、いろんな経験をしてきている分、知識の量という部分では年配の方たちや先輩から教えてもらってきたものが自分にはあるかな」

続けて中田は今の若手世代についてこう話した。

「若手の子は僕たち世代の頃の上下関係とかを知らないで育ってきてるから、その話をして驚く子もいる。

コミュニーケーションひとつとっても、フランクになってきているなと感じる。でもそれが別に悪いとかは思ってません。もし、それが気になったときは叱るんじゃなくて、“こんな風にしてみたらいいんじゃない?”とか声をかけるぐらい」

世代によって捉え方が違うのは理解しつつ、相手に合わせた言葉を選んで接していると話す