腕をつかまれて部屋に引きずり込まれそうに
また、ちくわぶさんが「個人的に一番思い出したくない部屋」と話す事件が、“客室内で呪いの儀式”事件。ホテルの一室が一夜にして、不気味に変わり果ててしまっていたという。
「窓には血で書かれた外国語の文字、客室の東西南北に焚かれたお香と清酒、バスタブは濁った生臭い水で満たされており、水面には束状に纏められた大量の髪の毛が浮かんでいました。チェックアウト済のお部屋なので頑張って掃除して全てきれいにしましたが、未だに『あれは何の呪いだったんだろう』と背筋が凍ります」
そして、被害は客室だけでなく、ちくわぶさん自身にも…。
「清掃のためにお客さまが滞在中のドアをノックしたところ、中から全裸で股間が”臨戦態勢”の外国人観光客の男性が現れ、腕をつかまれて部屋に引きずり込まれそうになりました。偶然同僚が同じフロアにいたためすぐ助けてもらえましたが、とても怖かったです」
同僚がいなかったらどうなっていたことか。何事もなくてよかった、という結果論では済まされないことが起きてしまったのだ。
もちろん、外国人観光客の全員がこうした問題行動をしているわけではない。大半はマナーを守ってくれており、問題行動をするのはあくまでその一部だろう。
だがその一部の行為が、大損害を生んでいるのも事実。文化や風習の違いを理由にここまでの暴挙が許されては、宿泊施設側もたまったものではない。被害に遭った場合、賠償請求をしたり、悪質な客を出入り禁止にしたりと個々に対処しているようだが、一度きりの利用が多い観光客という性質上、フォローしきるのは難しい現状にある。
最近では、中国人観光客に「客室内の家具の配置が気に入らないから部屋の模様替えをしてくれ」と無理なお願いをされ、「ここはIKEAではなくホテルです。無理です」とちくわぶさんはキッパリ断ったという。
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清掃員にとって嬉しいお客さんは?
対応が難しい客も多いが、それでも「ゴミが1か所にまとめられて、リネンがずたずたにされておらず、タオルが盗まれてなく、忘れ物も無いお部屋に当たったときは日本の方だろうと外国の方だろうと『またお越しください!』と嬉しく思っております」と話している。
せっかく日本に旅行しに来てくれたからには、外国人観光客には快適なひとときを過ごしてほしい。迎える側である私たちのおもてなしの精神は、一方的ではなく、双方の思いやりやその国を理解しようとする姿勢があって初めて成り立つものである。
取材・文/集英社オンライン編集部