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暦の上では秋ですが、しばらく暑かったですね。

正直、仕事しっぱなしだった私は、たまに身体の限界を感じる瞬間がありました。皆さんは大丈夫でしたか?

こんなとき、私は脳に刺激を与えるようにしてます。もちろん映画で! 芸術の秋、食欲の秋、そして映画の秋です。

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ミニシアターが輝く今の季節に、ものすごいパワーを持っている作品に出会いました。

私は、10月25日公開のアニメーション映画『がんばっていきまっしょい』で、劇場予告編のナレーションを担当しています。作品中の風景は、実写と見違えるほど美しく、とても素敵な作品です。

若者たちがボート部の頑張りと共に成長する物語。爽快感溢れるファイト。今回の映画『ノーヴィス』は、同じボート部が舞台でありながら、こんなにも違うのかという印象ですが、どっちも見てほしい気持ちでいっぱい。

アレックスは大学のボート部に入って、一つだけ空いているレギュラーを狙う。最初は自分を良くしたいと必死で頑張りますが、ここからが面白い。

『がんばっていきまっしょい』では、仲間たちとワイワイしたり、みんなで悩みながら前に進むのですが、アレックスは通常のトレーニングが終わってからも1人で黙々と身体作りに励み、「困難だからこそ挑戦するのだ」の言葉を胸に、大切な仲間をもライバル視していきます。

剥き出しの感情がもはやホラー

周りからしてみたら、一番になるための剥き出しの感情が、もはやホラー。見ている私も、“抑えて抑えて”とアレックスに言いたくなりますが、一方で、何だかこの気持ちが理解できちゃいます。

新しい環境で乗り遅れないように勉強、勉強、勉強と、心の雄叫びが目からビームのように出てしまって自分を見失う。

そんなアレックスを見事に演じたのは、イザベル・ファーマン。はい、映画好きの方なら、すぐに気づきましたね! 『エスター』の主演俳優です。

あのときもゾッとしましたが、今回のアレックスを表現するイザベルの演技は圧巻です!

自分の中の怖い自分を、ここまでリアルに表現してくれる。自分もきっと、瞬間的にこうなるに違いない。

やっと光が見えたときの、“もう少し欲しい”“私にはもっとできる!”…この思いのせいで、意外と自分をダメにしてしまう。

周りに“肩の力を抜いて”と言われてもできない。うまくいかないことを人のせいにしてしまう…。

さて、ノーヴィスの衝撃的なラストとは!?

ノーヴィス
監督・脚本・編集:ローレン・ハダウェイ
出演:出演:イザベル・ファーマン、エイミー・フォーサイス、ディロン
配給:AMGエンタテインメント 11月1日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

大学の女子ボート部に入部した大学生アレックス(イザベル・ファーマン)は、ジョン・F・ケネディの「困難だからこそ挑戦するのだ」の言葉を胸に秘め、厳しいトレーニングを重ねていく。上級生がケガを負って空いたレギュラーの座をめぐり、同期のジェイミーと熾烈な争いを繰り広げる。だが、奨学金が必要なジェイミーの画策によって、その座を奪われる。ジェイミーに出し抜かれたと憤慨するアレックスは、彼女に執着し始め、次第に狂気を帯びていき…。

「週刊実話」11月7・14日号より

LiLiCo(リリコ)
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。