現地時間10月30日に行なわれたカラバオ・カップ4回戦で、クリスタル・パレスはアストン・ビラを2-1で下してベスト8入りを果たしたが、殊勲の決勝ゴールを挙げたのは、緊急出場の鎌田大地だった。
開始8分にエベレチ・エゼのゴールで先制したアウェーのパレスは、しかし10分後にそのエゼが負傷退場。代わってピッチに送り出された鎌田は、23分にボールを奪われてビラの速攻からの同点を許してしまったが、64分にパスカットから中央にボールを運んでグラウンダーでのミドルを放ち、ゴールネットを揺らしてみせた。
試合後、この日本代表選手は「チームのために得点できてもちろん嬉しいです。でも、自分のパフォーマンスにはまだ満足していません。もっと良いプレーができると自覚しています。自信を失いかけていましたが、自分を変えたいと思って、それが良い方向に繋がったと思います」「このチームで決勝に進出して、パレスの歴史を作りたいと思っています」とのコメントを残している。
鎌田はゴールの前にも遠めから惜しいシュートを放っているが、「これまでも遠い距離から多くのゴールを挙げてきました。ハーフタイムに(オリバー・グラスナー)監督から『冷静に決勝ゴールを狙え』と言われていたので、シュートを撃ちました」と、エピソードを明かした。
一方、指揮官は「彼にとっては、難しい状況だった。10番としてプレーし始め、その後には6番に戻ることとなった。同点時のボールロストは少し不運だった。彼は少し意欲的すぎるところがあり、そうすべきではない位置でプレスをかけているように見える。ハーフタイムには落ち着いて決勝点を決めるようにと伝えましたが、素晴らしい形でそれを実現してくれた」と鎌田を称賛し、さらに以下のように続けている。
「彼の強みは、高い位置で積極的にプレスを仕掛けてボールを奪うこと、そしてペナルティーエリア外からのフィニッシュにあると知っている。彼にとっても、この得点が自信を得る助けになると思うので、本当に嬉しい。そしてもちろん、チーム全員にとっても、このゴールが決勝点になったことに大喜びしている」
MFウィル・ヒューズからも「途中から試合に出てペースに乗るのは難しいが、ジェフ・シュルップと鎌田は見事にそれをやってのけたと思う。彼らは試合を通して素晴らしかった。チームの選手層の厚さと才能の多さを示している」と賛辞を贈られた背番号18に対しては、現地メディアも高評価を下した。
スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』は、「(ビラのDF)ディエゴ・カルロスのミスを突いた鎌田が『イーグルス』を準々決勝へ導いた」と伝え、10点満点の採点で最高タイの「7」を与えて、プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」にも選定している。
英国公共放送『BBC』は、「鎌田はペナルティーエリアの端から強烈なグラウンダーのシュートでパレスにリードをもたらした」と報じ、また「鎌田は得点後にも活気ある動きを見せ、ルーズボールに追いついてシュートを打ったが、ポストの外に逸れた。他にも日本代表選手はFKを壁に当て、そのリバウンドをクロスバーの上に打ち上げた」と付け加えた。
日刊紙『The Guardian』、「夏にラツィオから移籍して以来、パレスでの2点目を決めた鎌田の活躍により、パレスは勝利」、『THE Sun』紙は「鎌田はGKジョー・ガウチが守るゴールの隅を高い精度で的確に狙った。このゴールは、最終的にパレスを準々決勝に進出させるのに十分なものだった」と、それぞれ綴っている。
『Daily Mail』紙は、「25ヤードからのゴールでパレスの勝利を決定づけ、ビラを驚かせた」として、採点は単独最高となる「8」を付与。対してスポーツ専門サイト『VAVEL』の英国版は、「5」という厳しい評価を下し、寸評でも彼のプレーのネガティブな面を挙げた。
「混乱したプレー。最初の45分間で7回もボールを失った。さらに2回ファウルを犯し、1回ドリブルでかわされ、7回のデュエルのうち1回しか勝てなかった。試合の大部分であまり良いパフォーマンスを発揮できなかったが、右足で放ったシュートが左下隅に決まり、決勝点。この得点により、パレスは12年ぶりに準々決勝へ進出した」
最後にパレスのクラブ専門サイト『WE ARE PALACE』は、「美しいシュート」と決勝ミドルを表現し、「この愛媛県出身の選手の元には、ほぼ全てのフィールドプレーヤーが駆け寄り、祝う姿が見られた。彼はチームの人気者である」とレポートした後、新天地への適応に苦しんでいる彼にとってこれが転機になることに期待を寄せている。
「鎌田は厳しいシーズンのスタートの中で自信を得るのに苦しんでいるが、ビラというチャンピオンズリーグにも出場しているチーム(しかも現時点でリーグフェーズ首位!)相手に決勝点を挙げたことで、このレベルに相応しい選手であることを示され、この先、彼にとってのシーズンが好転することが期待される」
また同メディアは、グラスナー監督の鎌田の起用法にも言及し、「攻撃的なMFで起用された時、彼は非常にシャープに見え、ビラのDFを追い詰める際にそのエネルギーを上手く活用し、素晴らしい形で得点を決めた」「6番の役割を果たすにはフィジカルの能力が欠けているが、10番ポジションであれば、我々の手元に素晴らしい選手がいるのかもしれない」として、「指揮官は鎌田を攻撃的な役割でのみ起用すべきだ」と主張した。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】鎌田のミドルが炸裂! カラバオ杯4回戦ハイライト
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