運動量ゼロの人がやるべきこと
最後に、アメリカのガイドラインで推奨されている運動(身体活動)の量を説明する。
アメリカのガイドライン[*5]では、健康を維持するためには、大人は週150~300分間の中強度の運動(個人差はあるが早歩きや階段の上り下りなど)、もしくは週75~150分間の高強度の有酸素運動(ジョギングなど)をすることが推奨されている。
そしてこれに加えて、週2回の(身体にある全ての主要な筋肉を使った)筋肉トレーニングをすることで、健康上追加のメリットがあるとされている。
この根拠となっているのが図3である。
この図の縦軸は死亡率、横軸は運動量を表している。もちろん運動量が多ければ多いほど死亡率が低いという関係が認められる。
ただしその中でも、日頃の運動量がゼロの人が少しだけ運動した場合に得られる健康上のメリットが一番大きい点に注目してほしい。
週150~300分間を超えると、追加で得られる健康上のメリットが小さくなるため、当該の範囲の適度な運動量が推奨されるようになったのだ。
1つ注意が必要なのは、食事を制限することなく運動だけで減量したいのであれば、週150分間の運動ではおそらく不十分であるということが分かってきているということである。
ただやみくもに運動しろと言われても難しいし、長く続けられない人も多いだろう。
しかし、これらの研究結果からも分かるように、運動は皆さんが病気になるのを確実に予防し、長生きさせてくれるものだ。
特に、普段運動をほとんどしていない人が少しだけ運動した場合に得られる健康上のメリットは大きい。いきなりガイドラインで推奨されているレベルの運動量を達成するのは難しいかもしれないが、まずは少しだけでいいので日々歩く量を増やしてみてほしい。
ストレス発散にもなるし、体調も良く感じるようになるはずだ。運動を続けていくための、よいきっかけになると思われる。
図/書籍 津川友介著『あなたを病気から守る10のルール』より
写真/shutterstock
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