ウクライナから避難してきたコスプレーヤーも
続いて、ウクライナから両親とともに避難してきたという日本語が堪能な3人組。今年初めて渋谷ハロウィーンを訪れたという、骸骨メイクをするアリさんは言う。
「日本はとても安全で平和な国。今日は仲のいい3人でこうしてコスプレして渋谷で楽しめて幸せだった。電車の時間があるから、これから急いで駅に向かわないといけない」
どこかのお店で飲んだ後なのか、フラフラしながら大声で笑い合っていたスペイン人のジェニーさん(右、30歳)とジャイサさん(左、23歳)も「渋谷ハロウィーンはこれで2回目だよ。ルールがあるなんて知らないよ。これからこのままの格好で渋谷から新宿へ移動して朝まで飲み明かす」と陽気に笑っていた。
これまで10年以上、渋谷のハロウィーンを取材してきたライターの鈴木ひろあき氏は言う。
「2000年代に認知されるようになった日本のハロウィーン。とくに渋谷の街全体における混乱は2010年以降から年々激化した。2014年には機動隊が出動し、2015年には逮捕者も出た。
そしてコロナ禍を境にハロウィーンに渋谷に来るなという看板を掲げるようになった。年々強まってきた警戒ムードは日本の若者には伝わったと思いますが、外国の方にはまったく届いていない状況です。
今後、渋谷区は、英語は話せないを言い訳にするのではなく、いかにして外国人たちにハロウィーンの日に渋谷に来てほしくない理由を説明するかが大事だと思います」
昨年10月、渋谷区長は東京の日本外国特派員協会(FCCJ)で開かれた記者会見で「今年のハロウィーンを渋谷で祝わないよう警告する英語の動画」を公開した。
だがこれは、一部報道では何を言いたいかわからない動画として不評だったとも言われている。規制動画を発信するだけでなく、もっと直接的に伝える対策が求められているのだろう。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班