異常な心理欲求のもと、残虐な行為に手を染めてゆくシリアルキラー。怖ろしい存在であるいっぽう、フィクションやドキュメンタリーで取り上げられるなど、強烈に人を惹きつける不思議な魅力もそなえています。
今回ご紹介するのは、シリアルキラーがデート番組に出演する(!)というウソみたいなホントのお話です。
毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。
今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflix映画『アイズ・オン・ユー』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!
【あらすじ】
舞台は1970年代のアメリカ・ロサンゼルス。女優としての成功を夢見るシェリルは、オーディションに落ち続ける日々のなか、テレビ番組『ザ・デートゲーム』の出演者に抜擢されます。
望んだ仕事ではなかったけれど「チャンスになるかも」と意を決して参加してみたら、魅力的な男性と巡り会えちゃった! ロドニーと名乗るその男性は写真家をしているらしく、シェリルの質問に対する受け答えも聡明で紳士的でした。
そんなさなか、番組を見学しにきていたひとりの女性がロドニーを見て愕然とするのです。ロドニーの正体とは、果たして……?
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【ココが見どころ!】
<その1:不思議な時間軸で進行してゆく手に汗握る95分間>
過去と未来をひんぱんに行き来しながら、シェリルとロドニーの運命が交錯していく本作。テレビ番組『ザ・デートゲーム』に出演する一部始終を追いながら、ロドニーの過去~現在を描いていきます。
実は、ロドニーの正体は連続強姦殺人犯のシリアルキラーでした。なお、ロドニーの正体は物語の序盤で明らかにされます。
彼が犯してきた過去の事件がサブリミナル効果のように挟み込まれる演出に、じわじわ引き込まれ、ゾクゾク鳥肌が立ってしまうはず。時間軸が複雑に前後していく独特の構成により、何が起こるかわからないハラハラドキドキ感が増幅されてゆくことでしょう。
<その2:ロドニーが不気味すぎる>
歴史に名を残してきたシリアルキラーの多くは、魅力的でカリスマ性に溢れた人物だと聞いたことがあります。
ロドニーにも人たらしっぽい魅力がある上に、なにかと親切なので、女性たちはたちまち心を許してしまうのです。たとえそれが初対面であっても、ね。
親切な青年としてふるまっていたロドニーが、ふとした瞬間に連続殺人鬼へと豹変するシーンには、トラウマ級のおぞましさがあります。ロドニーを演じた俳優ダニエル・ゾヴァットさん、狂気を内に秘めた演技がうますぎるのよ……!!
<その3:なんと実話ベースなんです>
本作のいちばん怖いところは「実話に基づいている」こと。1970年代に連続強姦殺人を犯しながら人気デート番組に出演したことで知られるロドニー・アルカラを題材にしているんですよ。
実在したロドニー・アルカラは、自分はプロの写真家だと偽り、若い女性や男性を「モデルにならないか」と誘いだしては殺人を繰り返していたのだとか。裁判では7件の殺人が明らかになっていますが、犠牲者の数ははるかに多いと推測されています。
完全にフィクションならば「まあ現実じゃないしね(笑)」と思えるけれど、実際に起きたこととなれば怖さは桁違いです。どうか皆さんも、甘い言葉にはお気をつけて。