映画『ゴジラ-1.0』のラストは観た人それぞれで解釈が異なる、考察が盛り上がるものでした。なぜああなったのか、その後はどうなるのか、続編ができるとしたらどうなるのか、現状での予想もまとめてみましょう。
『ゴジラ-1.0』キービジュアル (C)2023 TOHO CO., LTD.
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続編が作られる可能性は?
2024年11月1日(金)に「金曜ロードショー」で、『ゴジラ-1.0』が放送されました。劇場公開時から特に多くの考察が飛び交ったのが、解釈を受け手に委ねている「ラスト」です。
山崎貴監督が明言したことも踏まえ、「あのラストを回収する続編が作られるとすれば、どのような展開が考えられるか」を予想しましょう。
※以下、『ゴジラ-1.0』のラストを含むネタバレに触れています。
はっきりしなかった生死、ヒントは?
公開当時や今回の「金曜ロードショー」で観た際に、「ラストでなぜ浜辺美波さん演じる『大石典子』は生きていたのか」「どういう状態になっているのか」と思った方は多いでしょう。何しろ中盤で、主人公「敷島浩一(演:神木隆之介)」は銀座で働いていた典子の手を引いて逃げようとするものの、典子は「ゴジラ」の放射熱線により生じた爆風で吹き飛ばされてしまったはずです。身体に大きながれきが当たっているようにも見えました。
しかし、ラストで神木隆之介さん演じる敷島が病院に駆けつけて見たのは、包帯でぐるぐる巻きのままベッドに座っていた、痛々しい姿の典子だったのです。死んだと思われた典子が生存していた理由は劇中では明確には語られていませんでしたが、大きなヒントもあります。
それは、中盤の銀座の破壊後に「巨大生物の移動した跡には放射線の危険がある」「巨大生物から剥がれ落ちた肉片とみられるものが発見されており、日夜 未知の物質の処理に追われている」というニュースが報じられていること、そしてラストで典子の首に黒いアザ(のようなもの)があり、それがはい上がっていることです。
山﨑監督はHobby JAPAN Webのインタビューで「単なるハッピーエンドでもないし、単なるバッドエンドでもないよということで、観客の皆さんによっていろんな受け取り方をしていただければ」と語っています。しかし、大阪で開催されたゴジラ・フェスでは、山崎監督は典子の首のアザが「G細胞(ゴジラ細胞)」であることを認めていました。
G細胞は他のゴジラシリーズでも登場しており、たとえば1989年の『ゴジラvsビオランテ』では怪獣「ビオランテ」がG細胞の影響により誕生し、1994年の『ゴジラvsスペースゴジラ』や1999年の『ゴジラ2000 ミレニアム』でもG細胞により危険な怪獣が生まれるなど、「強力な自己再生能力を有している」存在として知られています。この『ゴジラ-1.0』の劇中でも、機雷で吹き飛ばされたゴジラの頭はすぐに再生していました。
つまり、典子は「爆風に巻き込まれたときに剥がれ落ちたゴジラの肉片にぶつかり融合した」「その肉片のなかのG細胞の自己再生能力により生き延びることができた(生き返った)」のではないか、だからこそ最後に首筋にG細胞のしるしのようなものがはい上がってきた、と考えられるのです。
「黒いアザ」はよくない未来を暗示させる
山崎監督は敷島がかわいそうだと思って典子を生存させたことを語っており、彼女の命が助かったことはもちろんポジティブに受け取れる反面、やはり黒いアザの見た目は不穏でネガティブな印象を持ちます。G細胞は典子の命を助けただけではなく、何らかの副作用が出ている、逆に典子の命が脅かされているという解釈もできるでしょう。
また、前述した中盤の銀座で放射熱線によりキノコ雲があがるシーンは、原子爆弾の投下の光景に似ています。典子はG細胞以外にも放射能に侵されているのかもしれませんし、アザそのものが被曝の症状のメタファーなのかもしれません。はたまた典子がG細胞と融合して「怪人」へと変化してしまうのではないか、といったゾッとする未来も考えられます。
もしくは、G細胞により典子がもはや「不死身」の存在になったのではないか、とも思えます。しかし、包帯をまいている以上、その傷は修復しきれていないでしょうし、人としての意識もはっきりしていますし、包帯以外の姿形も典子のままです。やはり黒いアザが出ていたとしても、完全にネガティブとも、もちろんポジティブとも言い切れないラストではあるのです。
典子は最後に敷島に「浩さんの戦争は終わりましたか」と問いかけていましたが、これからの彼らには「闘病」という新たな戦いが待っているのかもしれません。
『ゴジラ-1.0』ヒロインの典子 (C)2023 TOHO CO., LTD.
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「続編」あるとしたらどんな話になるのか
そもそも続編が作られる可能性はある?
山崎貴監督はモノクロ版の『ゴジラ-1.0/C』の大ヒット御礼舞台あいさつで、同じキャストが再集結しての続編を求める声が湧いたことに対し、「やってみたい気持ちは、もちろんありますよ」と答えており、続編の可能性そのものは否定していません。
その際には、「今回はゴジラだけが虚構で、超兵器も出てきていないし、SF的な要素を可能な限り排除し、リアリティーのラインを上げた。1から2に続くとしたら、そのラインの上げ下げを、どうするか。もし、やるとしたら、リアリティーラインをしっかりしたものにする」とも語っています。
なるほど、太平洋戦争直後という史実をベースとしてリアルさが強調された『ゴジラ-1.0』とは違って、続編ではファンタジーがかった「SF要素」が出てくるのかもしれませんし、はたまた『ゴジラ-1.0』以上にリアル路線を目指すのかもしれません。
現時点ではどんな形の続編もあり得るともいえますが、山崎貴監督が『ゴジラ-1.0』でハッピーエンドともバッドエンドとも取れる、あえてこの後をあいまいにするラストにした以上、その続編で浜辺美波さん演じる典子が再登場する可能性は低いでしょう。なぜなら、「どうしたって不満は出やすい」からです。
たとえば、前述したように「怪人」へと変化した典子を観たい人は少ないでしょうし、はたまた典子が何事もなかったように元気にしていたら、それはそれで違和感はあるでしょう。そもそも、「この後の可能性を想像できるラスト」を示しながらも、その続編で可能性をひとつに限定してしまうことを、野暮だと思ってしまう人は一定数以上いるはずです。
その上で、『ゴジラ-1.0』は世界中で大ヒットして、アカデミー賞視覚効果賞を受賞しており、観客の期待と商業上の理由からも続編もしくは新たな怪獣映画が作られる可能性はとても高いと思われます。平成期を思わせる「VSシリーズ」が作られるのかもしれませんし、もしくは『ガメラ』を筆頭に他の怪獣映画が新たに作られることもあり得るのではないでしょうか。
続編がキャストも含め明確に「続き」の内容となるとしたら、どうなる?
その上で、『ゴジラ-1.0』の続編が、もしもキャストも含め明確に「続き」の内容であるとしたら、「敷島がG細胞の侵食により命が脅かされる典子のために、また戦いに身を赴く内容になること」が考えられます。
たとえば、しばらくは敷島は娘と3人でつつましくも幸せな暮らしをしていたものの、典子が病気で倒れてしまう→その特効薬となる物質は、『ゴジラ-1.0』のラストで再生を始めていたゴジラにあると判明したため、敷島と仲間が海底へと調査へ向かう→そして、新たな怪獣(「モスラ」や「キングギドラ」など)が登場し、ゴジラも完全に復活して、戦いが幕を開けるなかで、敷島はひたすら典子のために尽くそうとする、といったような形のストーリーもあるかもしれません。
いずれにしても妄想の域は出ませんが、『ゴジラ-1.0』は敷島や典子はもちろん、山田裕貴さん演じる「水島四郎」、佐々木蔵之介さん演じる「秋津淸治」、吉岡秀隆さん演じる「野田健治」など、その極端さも含めて印象に残るキャラクターがいたため、そのさらなる活躍を観たくなるのも事実です。今はただ、続編決定のニュースを心待ちにしておきましょう。