白熱バトル制してバニャイヤ今季10勝目! マルティンとのタイトル争いは最終戦へ持ち越し|MotoGPマレーシアGP決勝

 MotoGP第19戦マレーシアGPの決勝レースが行なわれた。優勝したのはドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤで、タイトル争いの行方は最終戦へと持ち越された。

 MotoGPクラスは終盤2戦となってもまだタイトル争いが続いており、バニャイヤが、17ポイント差でホルヘ・マルティン(プラマック)を追いかける形でマレーシアGPに入った。

 しかしスプリントレースでバニャイヤは痛恨の転倒ノーポイント。勝利したマルティンがポイント差を一気に29点まで拡大した。決勝レースで38点まで差が広がればマルティンのチャンピオンが決まるという、崖っぷちの状況で決勝レースを迎えた。

 なおポールポジションを獲得したのは、崖っぷちのバニャイヤ。2番手にマルティン、3番手にアレックス・マルケス(グレシーニ)が並んだ。

 セパン・インターナショナル・サーキットは上空に青空が広がり、気温は34度まで上昇。路面温度も52度と非常に暑いコンディションで全20周のレーススタートを迎えた。

 スタートではバニャイヤとマルティンがターン1に横並びで進入し、マルティンが少しバランスを崩したことでバニャイヤがトップに立った。

 一方で後方ではターン2でKTMのジャック・ミラーとブラッド・ビンダー、ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)が絡む多重クラッシュが発生。これが要因となり、レースは1周目で赤旗中断となってしまった。なおミラーは救急車で搬送されたが、検査の結果幸いにも深刻な怪我は無いと診断された。

 赤旗のあと、レースは全19周でのリスタートが決定。クラッシュに巻き込まれたクアルタラロは足を引きずりながらもスペアバイクでレースに参加し、ミラーは欠場。ビンダーはサイティングラップには向かったものの、ウォームアップラップ前にピットへ戻り、スタートしないことを選んだ。

 レースのリスタートでは、バニャイヤが先行してトップを維持。2番手マルティンの後ろ、3番手にはマルク・マルケス(グレシーニ)が続いた。

 マルティンはバニャイヤを追い抜かんとすぐにオーバーテイクを仕掛けていき、一時は前に出る場面もあった。ただ1周目の最終コーナーでラインを膨らませ、バニャイヤがトップで1周目を終えた。

 ふたりのバトルはそこからも激しく続いていき、ポジションが1周のうちに何度も入れ替わる具合で、どちらかが明確にレースをリードするには至らない状況が続いた。

 3周目までトップ2名の激しいバトルが続いたが、ここでふたりの走りは落ち着きを見せ始めた。

 首位のバニャイヤはここを好機と見たのかペースアップ。ファステストラップを更新しながらマルティンとのギャップを広げ始め、レース3分の1を消化した7周目で約1秒のリードとなった。

 8周目、2番手のマルティンを追いかけていたマルク・マルケスが、ターン14で転倒。レースには復帰したが、表彰台のチャンスは失ってしまった。なおこれで3番手に浮上したのはエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)だが、4秒後方と優勝争いに加わるには遠い位置だった。

 トップ争いはレース中盤にかけて、バニャイヤがギャップを更に拡大。11周目には約2秒差までリードを広げて優勝に向けて盤石な走りを続けた。

 なおバニャイヤのペースは序盤に比べると落ちつつあり、13周目には2分台まで下がった。だたマルティンも同じようにペースを落としてしまっていて、結果として差は縮まらないという形だ。

 しかしラスト5周を切るとバニャイヤのペースダウンの方が大きくなり、バニャイヤが少し接近した。ただマルティンにも操縦ミスで危うい瞬間があり、結局ギャップは2秒以上に戻ってしまった。

 その後バニャイヤはギャップを3秒まで拡大し、トップでチェッカーを受け今シーズン10勝目を挙げた。2位はマルティン、3位はバスティアニーニだ。

 バニャイヤが勝利したことで、タイトル争いのマルティンのリードは24点まで減少。決着はバレンシアGPの代替としてカタルニア・サーキット開催が濃厚な最終戦へと持ち越されることとなった。

 LCRホンダの中上貴晶は15番手周辺を争っていたが、残り5周というところでピットインし、レースをリタイアした。

 またヤマハのファビオ・クアルタラロはスプリントレース同様に好調な走り。クラッシュも乗り越え6位を獲得した。チームメイトのアレックス・リンスも8位でフィニッシュした。