モビリティリゾートもてぎで行なわれたスーパーGT第8戦でGT300クラスの優勝を飾ったのは、88号車VENTENY Lamborghini GT3の小暮卓史/元嶋佑弥組だった。予選17番手スタートと、タイトル争いを繰り広げる88号車にとってはかなり厳しい展開と言えたが、猛烈な追い上げで今季3勝目を飾って見せた。
88号車ウラカンは、第7戦オートポリスでの2勝目によって本格的なタイトル候補に浮上。しかも終盤2レースが行なわれるもてぎと鈴鹿は相性が良いため、元嶋も小暮も「追い風が吹いている」と期待感を口にしていた。
しかしながら、雨の中行なわれた予選ではロワー組(15番グリッド以下を決めるQ2セッション)に入ってしまい17番手止まり。Q1を担当した元嶋は、タイミングやタイヤ選択などが噛み合わなかったと説明していた。ただドライコンディションの決勝レースで元嶋は目の覚めるような追い上げを見せて上位に浮上し、小暮にバトンタッチ。小暮はポイントリーダーでタイトル争いのライバルである65号車LEON PYRAMID AMGをパスすると、独走状態を築いて優勝を飾った。
ドライバーふたりは記者会見の中で、まさか優勝できるとは思わなかったと口を揃えた。
「優勝できるとは思っていませんでしたが、チャンピオン争いに残るために65号車の前でゴールしないといけなかったので、優勝できたこともそうですが、65号車の前でゴールできたことが一番良かったなと思います」
そう語るのは元嶋。前半スティントを走りながら、65号車LEONに対して分があると感じていたようだ。
「自分はレースで波風立てずに走りたいタイプなんですけど、予選で沈んでしまって、65号車がすごく遠くにいたので、そこまでは死に物狂いで追いつかないといけないと思いました。その結果、たくさんオーバーテイクできて、最終的に小暮さんにある程度上位でバトンタッチすることができました」
「65号車がタイヤで苦しんでいることは前半のうちに感じていたので、もし(65号車が)タイヤ無交換の場合も、4輪交換のこちらに分があるんじゃないかと思い、スティント後半は自信を持ってレースを進めることができました」
一方、今季3勝目を喜ぶ小暮も、最も重要なタスクである65号車のオーバーテイクを完遂した時点で「仕事の大部分が終わったなと、ホッとしました(笑)」と笑顔を見せた。
最終戦の舞台は鈴鹿。88号車のふたりは65号車LEONを11点差で追いかける立場だが、元嶋は「鈴魔はまず、小暮さんが速いので大丈夫ですね。僕はそれを支えて、お膳立てするだけです」とひとこと。一方の小暮も「流れがきているので、気負わずに。元嶋選手も速さがありますし、良いポジションでバトンを渡してくれると信じています」と、お互いにチームメイトを褒め称えた。
そしてふたりは共に、チームオーナーで監督の則竹功雄氏にチャンピオンをプレゼントしたいと考えている。まず元嶋が切り出した。
「もちろんチャンピオンを意識して臨みます。ランボルギーニでここまでチャンピオンが狙える位置で最終戦を迎えるのも初めてだと思いますし、長年チームを運営してきたJLOCの則武代表に最高の思い出をプレゼントしたいです」
「ここ数年はヨコハマタイヤとも関係性を深めているので、みんなで最高のレースができればと思います」
続いて意気込みを述べたのは小暮だ。
「則武さん初め、チームもすごく頑張ってくれています。ヨコハマタイヤ含め、みんなに報われてほしいと思いますし、チャンピオンをとって良い思いをしてほしいです」
「レースはなるようにしかならない……というと無責任かもしれませんが、ベストを尽くすだけです。もちろんチャンピオンを意識していますが、良いレースができる予感はしているので、期待していますし、頑張りたいです」