角田裕毅7位入賞も満足せず……セーフティカーと赤旗のタイミングに泣く「あれがなければ、トップに立てたかもしれない」

 F1サンパウロGPの決勝レースで、RBの角田裕毅は7位となった。角田はレース序盤は3番手を走行。初表彰台も期待された。しかしセーフティカーと赤旗のタイミングが合わずにポジションを落とす結果に……角田本人も、運が向かなかったと悔しがった。

 荒天に見舞われ、まさに大波乱の展開となったサンパウロGP。予選は当初土曜日に開催される予定だったものの、インテルラゴス・サーキットに嵐が襲来し、日曜日の朝に順延された。

 その予選で躍動したのが角田だった。多くのマシンがクラッシュし、何度も赤旗中断となるなか、角田は順調に戦い抜き3番手。自身の予選最高位を更新した。

 そして迎えた決勝レースでは、終始3番手を走行。雨脚が強まり始めた頃にバーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言された際に角田はピットに飛び込み、インターミディエイトタイヤからフルウエットタイヤに履き替えた。

 前方を走っていたマクラーレンのランド・ノリスやジョージ・ラッセルらもほぼ同じタイミングでピットイン。しかし彼らが履いたのはインターミディエイトタイヤだった。当時の路面コンディションは、インターミディエイトタイヤで走るには雨量が多く、まさにフルウエットタイヤを履いた角田の天下。1周10秒ほど速いペースで差を縮めていった。

 しかし雨が急激に強まったことでセーフティカー(SC)が出動。さらにそのSC中にウイリアムズのフランコ・コラピントがクラッシュしたことで、赤旗中断となった。

 これにより角田は、ノリスやラッセルをコース上で攻略するチャンスを失ったばかりか、まだタイヤ交換を行なっていなかったアルピーヌ勢やマックス・フェルスタッペンが、赤旗中断中に順位を落とさずタイヤ交換を行なえたことで、ポジションを失った。

 レース再開後に角田はさらにポジションを落とし、最終的に8番手でフィニッシュ。マクラーレンのオスカー・ピアストリに10秒のタイム加算ペナルティが科されたため7位……久々の入賞を手にした角田だったが、SCと赤旗のタイミングを悔しがった。

「ウエットタイヤに履き替えた判断は良かったと思います。でも、セーフティカーと赤旗が出たことが、順位を大きく下げるポイントでした」

 角田は決勝レース後にそう語った。

「レッドフラッグが出なければ、おそらくどこかの時点で多くのマシンを抜き、多分首位に立つことができたと思います。でも、今日はそういうふうにはなりませんでした」

 F1初優勝……角田にとってはそんな可能性が見えた瞬間もあったようだ。しかし簡単なレースではなかったと、角田は振り返る。

「このコンディションは、集中力を失えば、結果が大きく左右されてしまうものです。そして、オスカーとの最後のスティントでの戦いは楽しかったです。(ピアストリにはペナルティが科されていたので)10秒以内の差に入ろうと努力しました。もっと多くのミスを犯した可能性もありますが、クリーンに走り続けて、7位獲得を目指していました。それができたのはいいことです」

 久々の入賞を手にした角田。そしてチームメイトのリアム・ローソンも9位入賞を手にした。コンストラクターズランキング6位を争うハース勢が無得点に終わったため、さらなる上位入賞の可能性を失ったとはいえ、本来ならばRBとしては好結果を喜べたはずだ。しかし今季低迷していたアルピーヌ勢が運も味方にダブル表彰台を獲得……あっさりランキング6番手に浮上し、RBはランキング8番手に後退してしまった。

「残りのレースで逆転するのは、とても大変です。僕らにとって楽なサーキットではありませんからね。でも、最善を尽くします」

 そう角田は語った。

「彼ら(アルピーヌ)が2位と3位になったのは、非常に苛立たしいですね。彼らはすごい幸運に恵まれたと思います」

「でも、それが現実です。次のレースではもう少し近づいて、最大限の結果を出せるようにしたいです」

「まだまだ学ぶべきことがたくさんあります。理由は分かりませんが、ショートランは本当に良かったのに、ロングランはそれほど良くはありませんでした。そこに何か学ぶべきことがあるかもしれないです」