先日約1年2カ月ぶりに戦線復帰した女子テニス元世界ランク4位のベリンダ・ベンチッチ(スイス/現1213位)が母国メディア『portal 24』のインタビューに回答。その中で産後の生活を語るとともに、今後の目標を明かした。
昨年9月から負傷によりツアーを離れていた27歳のベンチッチは、今年4月に第1子となる女の子を出産。ケガの克服と産休を経て先週行なわれたITF下部大会「ハンブルグ・レディース・カップ」(10月28日~11月3日/ドイツ・ハンブルグ/ハードコート/W75)で無事実戦復帰を遂げ、1回戦突破も果たしていた。
今回のインタビューでベンチッチは娘と共に「一秒一秒を楽しんでいる」とし、「彼女はとても幸せな赤ちゃんよ」と充実の表情でコメント。「子どもがトレーニングにも一緒に来てくれるおかげで自分のルーティンや仕事に完全に集中することができている」そうで、母親業と選手をうまく両立できていることでモチベーションも高まっていると語る。
「家ではなんとか自分たちのリズムを見出せるよう工夫してきた。次は、ツアースケジュールに合わせてリズムを調整する必要がある。私たちが娘と一緒に飛行機に乗るのは初めてのことだし、ベビーシッターや祖母もいないから、代わりを担う人はいない。それでも大会が近付いてくるごとに私たち(家族)全員がとてもやる気になっている。そういう気持ちは家にいてもとても役に立つし、家族での旅を楽しみにしているわ」
フィジカルトレーナーである夫の支えもあり、「出産後の骨盤底筋のリハビリなど、妊娠中に色々と学べた」というベンチッチだが、試合で動けるようになるまでには「自分の身体の声によく耳を傾けなければならなかった」とのこと。「自分の欠点がどこにあるのかを正確に確認するためには、まだ訓練が必要」とも付け加えつつ、子育てをしながらでも以前の強さを取り戻すことは不可能ではないはずと、27歳は並々ならぬ意欲を示す。
「私は常に世界のトップに君臨したい。実際、赤ちゃんが一緒にいてもそれは可能だと思っている。今いる新たなステップでは、人生を違う視点で見るのにも役立ち、少しリラックスして物事を見る手助けもしてくれると思う。テニスは私の仕事で、まだ好きなものだし、コートではベストを尽くしたい。もちろん人生にはそれ以上のものがあるけどね」
そして最後には近年大坂なおみやビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)をはじめとしたママさんプレーヤーが増えている現状を踏まえ、こう締めくくった。
「彼女たちのアドバイスは私に多くのインスピレーションを与えてくれたし、プライベートと仕事を両立できることを私に教えてくれた。今は数百万人もの母親が子育てと仕事を両方こなし、数人の子どもの世話をしなければならない場合もあるから、それについては大きな課題に直面していると思う」
今週もITF下部大会「キョウテック・オープン」(11月4日~10日/ルクセンブルク・ペタンジュ/ハード/W75)に本戦ワイルドカード(主催者推薦)で出場するベンチッチ。完全復活には時間がかかるかもしれないが、焦らず自分のペースで歩みを進めてほしい。
文●中村光佑
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