農林水産省は、10月30日に開いた審議会で、主食用のコメの来年6月までの需要量と生産量の見通しを公表した。その中で、来年6月時点の民間のコメ在庫量は162万トンと、過去最低だった今年6月時点より9万トン増える見通しであるとした。

 そうした中、コメの小売価格は依然として高止まりしている。総務省が公表している小売物価統計によると、今年10月のうるち米の小売価格(5キロあたり)は、コシヒカリで対前年同月比プラス60%の3787円にも上る。

 ではなぜ、在庫量が増えるというのにコメの価格は下がらないのか。農水省はインバウンド需要に加え、円安による肥料や資材価格の高騰が価格高騰を引き起こしたと説明している。もっとも、コメの需要量は、人口減少などを背景に、今年6月までの1年間より、来年は30万トン余り減るため、本来ならコメの価格は下がるはずだが…。食品ライターが語る。

コメの価格が高騰したのは、農協が生産者に前払いする『概算金』が上がり、集荷競争による値上げ分が買価に反映されたことも原因といわれています。いったん上がった価格はなかなか下げることができない一方で、供給量は増加している。騒動でコメを買い込んだ人は焦って買う必要はなく、また、在庫量が増加することを知った人は価格が下がるのを待っている。最後は市場原理に任せるしかありませんが、現在は我慢比べが続いているような状況です」

 小売店は高いコメをいつまで店頭に置くのか。我慢比べなどしたくないのは、店も消費者も同じはずだが…。

ケン高田

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