東京電力、オール電化住宅向け「全電化住宅割引の終了」で「深夜電力」値上げ

 東京電力エナジーパートナー(東電EP)は、住宅の熱源にガスを使わずすべて電気でまかなうオール電化住宅向けの電気料金プランにおける「全電化住宅割引の適用」を2025年3月31日で終了する。対象プランは季節別時間帯別電灯の「電化上手」と「再エネおかずかりプラン」。4月1日から料金を見直し、深夜電力の基本料金を値上げする。具体的に「深夜電力A」で329円19銭(146円69銭の値上げ/1契約当たり)、「深夜電力B」で649円12銭(293円37銭の値上げ/1kWh当たり)、「第2深夜電力」で539円12銭(293円37銭の値上げ/1kWh当たり)となる。

2025年4月1日から深夜電力の基本料金を値上げ

(出典:東電EP、以下同じ)

●対象プランは「電化上手」と「再エネおあずかりプラン」



 東電EPは2000年7月から、給湯設備やキッチン、エアコンなどすべての熱源を電気でまかなうオール電化住宅へのニーズの高まりに応えるため、季節により使用量の少ない時間帯となる深夜電力が安くなる季節別時間帯別電灯の「電化上手」を新設した。

 また、オール電化住宅にすることで電気の使用量が増加し、電気料金が高くなる負担を軽減するため、同年10月に「電化上手」と、同じく季節別時間帯別電灯「再エネおあずかりプラン」の利用者を対象に、毎月の電力量料金から5%(上限2200円/月)を割り引く「全電化住宅割引」を適用してきた。

 その後、16年4月の電力小売全面自由化を機に「電化上手」の新規加入は停止したが、全電化住宅割引の適用は継続してきた。今回、この適用を25年3月31日で終了する。

 終了する理由について東電EPは、「オール電化住宅の潮流が定着し、電化機器が広く普及したことに加え、省エネの進展などを背景に、電気の使用量は全電化住宅割引の適用を開始した当時から大きく減少している」としている。

モデルケースでの影響額

(月額)

(広告の後にも続きます)

●「深夜電力」も見直し



 「電化上手」や「再エネおあずかりプラン」の季節別時間帯別電灯は、電力消費の少ない時間帯に電気を使用してもらうために、電気温水器やエコキュートなど深夜に限って電気を使用する需要に対し、標準的な電気料金よりも割安な料金水準である「深夜電力A」と「深夜電力B」を1974年から、「第2深夜電力」を84年から、それぞれ提供してきた。

「深夜電力A」「深夜電力B」

「第2深夜電力」を見直す

 冒頭のように、25年4月1日からこの深夜電力の基本料金も見直す。

 理由について東電EPは「2016年4月の電力小売全面自由化までにいずれも新規加入を停止したが、自由化以降の深夜電力の費用構造の変化などにより、現在加入しているお客さまの契約について、現在の電気料金で電気を届けし続けることが困難な状況にある。深夜電力の料金について、25年4月1日から電気を届けるために必要な費用を適切に賄える水準に見直す」としている。

 モデルケース(深夜電力B/契約電力4kW/使用電力量290kWh)での月額の影響額は、現行料金9006円が、見直し後は1万179円となり13%増、1173円の値上げとなる。(BCN・細田 立圭志)