バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで10シーズン目を過ごす男子日本代表のエース石川祐希。トップクラスのアウトサイドヒッターとして今季加入した世界最強クラブ、シル スーザ ヴィム・ペルージャで着々と存在感を増しつつある。
【動画】石川祐希が21得点の大爆発! ペルージャの逆転勝利に貢献 石川は、今季最初の公式戦スーペルコッパで負傷離脱のウクライナ代表オレフ・プロツニスキーに代わり、ペルージャを連覇へけん引した後、リーグ開幕以降も新天地でフル稼働。疲労による腰痛で10月2週目から調整が続いていたが、前節の欧州王者トレンティーノ戦でポーランド代表カミル・セメニウクと交代して1セット目中盤から出場すると、攻守で勝利に貢献して順調な回復をアピールした。
現地11月3日に行なわれたリーグ通算7冠を誇る強豪の一角、ルーベ・チヴィタノーバとのレギュラーシーズン第6節でも、再び途中起用で2セットダウンのピンチから逆転勝利への道を開き、MVP(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いた。
また、チーム最多21得点(アタック20、ブロック1)を叩き出したこの試合で印象的だったのは、司令塔・イタリア代表シモーネ・ジャンネッリのセットを絶妙なタイミングでとらえ、次々と得点に変えたアタックだ。石川はレフトから16得点、バックローからも4得点を挙げ、決定率57%を叩き出した。
試合後のフロアでインタビューに応えた石川に、目下の課題と述べていた高身長セッターとのコンビネーションに変化を感じたと投げかけると、こう答えが返ってきた。
「そうですね。バックアタックもそうですけど、レフトに関しても速いトスとちょっと普通のトスを分けて上手く使えているので。スーペルコッパの時は、常に同じトスだったのですが、(リーグ4節の)チステルナ戦後に僕のコンディションが良くなって、ジャンネッリ選手が怪我をする前に速さの違うトスを使い分けるコミュニケーションが取れたので、今は自分の好きなタイミングで入れています。なので、今日は高い決定率でアタックを決められたと思います。ジャンネッリ選手も僕に託してくれた。それを決めることができて良かったです」
“手応えは掴んだ!”そんな心の声が聞こえた気がした。 そしてこの日、石川と1セット中盤から試合終了まで出場し、腹筋負傷から3試合ぶりに長いプレー時間をこなしたジャンネッリにもインタビュー。まず、現在の調子を尋ねると、「コンディションはまだ、まぁまぁな感じかなぁ。今日、プレーできたことが嬉しいよ。なによりも、故障が悪化することなく終えられてほっとしている。まだ100%ではなく調整段階だからね。慌てずにベストな状態へ持っていきたい」と明かし、続けて、石川との連係についても見解を語ってくれた。
「新たに加わった選手がチームに適応しなければならないのは必然。けれど、それはユウキを迎えたチームの側にも言えることだよ。なので、攻撃、レセプションやシステムなどすべてにおいて少なからず相互理解が必要になる。時間を要するのは当然なんだ。それらを踏まえて、僕らが正しい方向へ歩を進めているのは確かだ」
「僕はオープンでざっくばらんな性格なので、意見を交換したり、フィードバックをもらいたい。そうしてもらえるように、かなりユウキをプッシュしていて(笑)、今はいい感じだね。とにかく、ユウキはここペルージャでプレーすることに満足してくれている。だからすべてOKさ」
コンディション万全でコートに揃った日本代表とイタリア代表の主将2人が阿吽の呼吸で繰り出す攻撃。その威力は、イタリア国内はもちろん、今月から開幕するCEVチャンピオンズリーグで欧州を震撼させることになるはずだ。
取材・文●佳子S.バディアーリ
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